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【大リーグ】

カブスの闘将ピネラ監督電撃引退 母の看病専念…今季終了を待たず

2010年8月24日 紙面から

退任前最後の試合となったブレーブス戦前、観衆に向け帽子を振るカブスのピネラ監督=リグリー・フィールド(UPI=共同)

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 【シカゴ梅田香子】7月に今季限りの引退を明言していたカブスのルー・ピネラ監督(66)が22日(日本時間23日)のブレーブス戦前に、母親の看病に専念したいとしてシーズン終了を待たずに退任を発表した。同監督はメジャー指揮23年目、カブスを率いて4年目。通算3548試合目の指揮となったラストゲームは5−16で大敗した。就任から2年はカブスを地区連覇に導いたが、1908年から遠ざかる悲願のワールドシリーズ優勝は達成できなかった。なお、23日から今季終了まではマイク・クエード三塁コーチが監督代行を務める。

 こみ上げるものを抑えられなかった。「これが本当に最後の会見だからね!」。最初こそ陽気な人柄から“スイート・ルー”と親しまれた通りのあいさつだったが、語るうちに大粒の涙がこぼれ落ちた。「試合の後、少し泣いてしまった。感情的になってね…。すまない、感情的になるまいとしたんだが…。ユニホームを着るのはこれが最後だ」。後方には会見を聞きに来て、目頭を押さえる選手もいた。

 今後はフロリダ州タンパの自宅で療養する90歳の母に付き添うという。「母が私を必要としているから、いるべき家に帰る。野球をできなくて寂しくなるがね…」。シーズン終了と同時に引退する予定を、1カ月以上早めざるを得なかった。

 86年のヤンキースから計5球団を指揮し、通算1835勝は歴代14位。レッズ時代の90年には下馬評を覆して世界一となり、93年からは02年までマリナーズを指揮。01年入団のイチローのほか、マック鈴木(96、98年)、佐々木主浩(00〜02年)、長谷川滋利(02年)の各投手も指導した。

 激しやすく“瞬間湯沸かし器”と呼ばれることもあった。マリナーズ時代には、球審に激しく抗議し、土をかけてホームベースを完全に隠したことがある。地元シアトルのファンが大喜びする中、球審は無視して試合を再開。いたたまれなくなって土を払った当時の正捕手ウィルソンがベンチに戻ると、ピネラ監督は「なぜ、お前がベースを掃除するんだ!?」と雷を落とした。

 「今日の試合は(大敗で)美しくなかったが、思い出すのは良い時期だ。素晴らしい時間、人々、そしてファンに恵まれた。カブスでの4年間に感謝したい」。ファンから愛された指揮官が、また一人グラウンドを去った。

 

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