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きょうのコラム「時鐘」 2010年8月25日
連載漫画「ヒラリ君」一家の台所に、きのうゴキブリが出た。奥さんが退治を命じていたが、ドジな主人公のことだから、取り逃がしたに違いない
不衛生の象徴として、とにかく嫌われる生き物である。主に台所に出没するせいか、女性の方が憎悪の念が強い。直ちに撃退を命じるが、簡単には仕留められない。それが憎しみをあおる 氷河期からの生き残りで、人類の先輩格に当たるが、みじんも敬う気持ちにならないのは、広く流布する「予言」のせいか。ヤツらはしぶとく、人類が滅んでも生き残る。いや人類に代わって、地球の支配者になるというのである。その恐怖と警戒が、ヒトの遺伝子にすり込まれているのかもしれない 寒さに弱いとされる生物だから、北陸での暗躍はそんなに昔のことではない。冬も暖かい暮らしが、繁殖をもたらした。ヤツらの出現は、温暖化の警鐘にほかならない だから目先の数匹を退治しても仕方がないのだが、そんな理屈よりも憎しみの感情が先に走る。数匹の退治に成功すれば、大仕事を終えた気になる。少しの仲間をいけにえにして、生き延びる。敵は手ごわい。 |