「日本Sフライ級王座統一戦」(9月25日、東京ビッグサイト)
正規王者・中広大悟(29)=広島三栄=が、暫定王者・佐藤洋太(26)=協栄=と4度目の防衛戦として行う王座統一戦に、敗れれば引退する覚悟で臨む決意を見せた。昨年12月18日の防衛戦での右手負傷を乗り越えて迎える9カ月ぶりの実戦。背水の陣でKOを狙う。
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復帰戦まであと1カ月。待ちに待ったゴングがもうすぐ鳴る。中広がV4へ、負けん気の強さを見せた。
「3ラウンドまでにプレッシャーをかけて倒したい。『やっぱり中広は強いな』と言われるような試合がしたい。負けたら引退するぐらいの背水の覚悟で戦いたい」。09年に行った3度の防衛戦とは意気込みが違う。広島唯一の日本王者は、9カ月ぶりリングで“王者健在”を証明する決意だ。
我慢の末に、ようやく復帰戦にたどり着いた。09年12月18日、赤穂との3度目の防衛戦で右手親指の腱を断裂。手術こそ回避したが、治療に時間を要した。
サンドバッグを打ち始めたのは5月に入ってからで、完治したのは6月だった。各階級の日本王者が指名試合を義務づけられた今春のチャンピオンカーニバルを欠場せざるを得ず、暫定王者が立てられた。
今回はその暫定王者・佐藤と対戦する。右構えのボクサーファイターで、これまで拳を交えた経験はない。生で見たのも5月1日に後楽園ホールで行われた翁長との暫定王者決定戦だけだ。
しかし、必要以上の研究はしない。「気持ちで押してくる感じがする。研究しすぎても、手を合わせてみないと分からない部分も多いから」。新谷会長のアドバイスなどを参考に、頭の中でイメージを膨らませている。
気持ちが高ぶる要素がある。WBAフライ級王者・亀田大毅(亀田)と元王者・坂田健史(協栄)の世界戦直前のセミファイナルで行われるため、多くの観衆が集まることは確実。「07年に(世界戦前の)セミファイナルは経験しているし、敵地はやりやすい」。08年12月17日の日本Sフライ級王座決定戦(後楽園ホール)以来となる東京での試合も問題はない。
減量に備えて、16日からは節制期間に入った。酒を断ち、食事も制限し始めた。「ここまでは順調に来ている。試合が楽しみ」。9・25、中広が王者の矜持を見せる。