芸能リポーターの先駆け的存在だった梨元勝(なしもと・まさる)さんが21日午前5時19分、肺がんのため東京都渋谷区の病院で死去。梨元さんの突然の訃報に、スクープ合戦を繰り広げた戦友たちも驚きを隠せなかった。
芸能リポーターの井上公造氏(53)は「病院に見舞いに花を贈ったら、メールで『また現場で会いましょう』とお礼をもらった。僕らもきっと戻ってくると信じていたのに…」と温かい人柄をしのんだ。
井上氏は、スポーツ新聞記者時代に梨元さんに芸能リポーター転身をすすめられ、事務所にも所属した“弟子”。「将来について不安を感じて、相談したら『倍のギャラを出すから俺のところに来い』。梨元さんがいなければ今の自分はない」と振り返る。
特に教わったのは“取材現場への執着”という。「取材がだれよりも好きだった。常にパスポートと手帳に現金10万円を入れていた。どの現場からもすぐに海外に飛び、取材ができる準備をしていた。現場に一番乗りすることがスクープへの近道と信じ、実践していた」と語った。
フジテレビ芸能デスクの前田忠明氏(69)は、女性週刊誌記者時代からテレビリポーターと、約40年続いた“ライバル”の死を「お疲れさまなんて言いたくない。俺より若いのに先に逝くなよ」と悔しがった。
タレントの羽賀研二と梅宮アンナの交際が話題となったときには、羽賀に食い込む梨元氏に対して、前田氏は梅宮を露出させ張り合った。「それでも彼の方がスクープは断然多かった。僕は彼が切り開いた道をついて行っただけ。テレビやワイドショーのあり方が変わっても信念を曲げない人だったけど、それが命を縮めたかな」と寂しそうだった。