2009年4月、ドルに対する円の価値が下がり、約5カ月ぶりに1ドル=100円台となった。アメリカの経済が信用を少しずつ取り戻し、ドルが少しずつ買われるようになって価値が上がっているからだ。しかし、アメリカ経済の動き次第では、再び円高になる可能性もある。
2008年10月と12月、日本銀行は円高をなんとか食い止めようと、政策金利の引き下げを決めた。円を買う動きをやめさせるためでもある。1年間借りた場合に支払う金利を10月に0.5%から0.3%に引き下げた。12月には、さらに0.3%から0.1%への引き下げを決めた。
2008年9月、アメリカの大手証券会社などの破たんをきっかけに世界的に経済の調子が悪くなった。またアメリカで金利を事実上ゼロにする政策が打ち出されるなどして、ドルを売る動きが強まり、ドルの信用は下がった。一時、急に円高になり、日本の円が1ドル=80円台まで上がった。
ドルの価値が下がり、受け取った輸出品の売り上げ金が目減りした。これを「為替差損」という。大手自動車会社のトヨタ自動車は08年度の為替差損が8900億円、日産自動車が609億円となると発表している。
※破たん……商店や会社の支払いが止まってしまうなど、経営が立ち行かなくなること。
円高になれば、外国で日本製品の値段が高くなる。1ドル=130円のレートの時に、日本で13万円の冷蔵庫をアメリカに輸出すると値段は1000ドルだ。しかし、円高になり1ドル=100円になると、冷蔵庫は1300ドル。あまり売れなくなってしまうから、輸出をする会社は損をするんだよ。
ニュースがわかる 2009年6月号
【おすすめの本】
「お金の大切さがわかる本 円とドル、どう取り引きするの?」(永井進・編 ポプラ社)
「100分でわかる! 為替相場・巨額の頭脳戦」(NHKスペシャル「同時3点ドキュメント」取材班・文、日本放送出版協会)
「社会とくらしの絵本17『一万円札のたび~お金のはたらきと私たちのくらし』」(加賀見遼・作 岩崎書店)
2009年6月12日