日本国内の銀行など金融機関が、外国の通貨と自分の国の通貨の売り買いを行うことを「外国為替」(FX=Foreign Exchange)という。日本での取り引きは、「東京外国為替市場」で行われる。市場といっても、どこか特別な場所に金融機関の人々が集まってレートを決めているわけではない。おもに電話やコンピューターで通貨を売り買いする相手と連絡を取り合って取り引きしている。為替市場は、そうやって銀行などが実際に通貨を売り買いした結果なのだ。取り引きに参加しているのは、政府の許可を受けた金融機関など。
月曜朝から土曜朝まで24時間、取り引きが続けられている。東京以外に、イギリスのロンドン市場、アメリカのニューヨーク市場などがある。時差があるため、取り引きが活発に行われる時間帯は少しずつずれている。
毎日新聞でも日々、為替レートを載せている。午前9時時点や午後5時現在の「気配値」を、前日の午後5時時点と比べて掲載している。
(1)ものの値段の変化
為替レートは、それぞれの国の通貨で買われている物の値段でほぼ同じになるという考えに基づいている。バナナ1本が日本で100円、アメリカで1ドルならば、1ドルは100円の価値ということになる。同じものがアメリカでは1ドル、日本では80円で売られることになれば、1ドル=80円となるという考え。しかし、実際の為替レートとものの値段の比率はちがうことが多い。影響してくるのに時間がかかる要因の一つ。
(2)貿易で得られる通貨の量
輸出入を通じて、日本の会社がアメリカの会社から受け取ったお金が多い場合、日本側がもうかり、日本の貿易収支が黒字となる。その結果、受け取るドルが増える。通貨は量が多いと価値が下がるので、円高・ドル安になる。貿易赤字はその反対。
(3)金利の変化
お金を預ける場合、金利(貸したり預けたりしたお金の額に加えて、支払われるお金)を高くもらえる銀行に人気が集まる。国の政策として打ち出す金利の率は、それぞれの国の中心となる銀行(日本では日本銀行)が決めている。人々は利率を見て、どの通貨をどの国にある銀行に預けるかを決める。金利の上がりそうな国の通貨がたくさん買われ、価値も上がる。
(4)国の政治や経済によっても
大事故や災害、戦争、政策により、国に対する国際的な信用が高まったり低まったりする。通貨の価値は国の信用にも左右される。政治の状態が安定していたり、経済の調子がよかったりすると、その国の発行する通貨の人気は高くなり、ほかの通貨に比べて値上がりする。
ニュースがわかる 2009年6月号
2009年6月12日