(cache) 日本の自存自衛を取り戻す会人民元問題12 せと弘幸氏の場合

人民元問題12 せと弘幸氏の場合

　当方が人民元問題をしつこく取り上げる理由はこちらのとおりです。この問題にきちんとした主張を持たない限り，今の自滅的人口誘致政策にｽﾄｯﾌﾟをかけることはできません。さて三橋氏，植草氏に続いて次はせと弘幸さんです。身内ですから批判はしにくいのですが，避けて通るわけにはいきません。
１．不況の原因論
　評論家ではなくｼﾞｬｰﾅﾘｽﾄを名乗っておられるので，余り突っ込んだ理論的な主張はありませんが，多少触れた箇所を２点だけ紹介しておきます。
①”1999年､国会が一部の業種に限定されていた派遣労働を原則自由に｡その結果､貧困と格差が広がり､生活苦や借金苦などを理由に自殺者は10年連続３万人以上となった｡また35歳の平均年収は200万円も安くなり､ついに300万円台となった”(ﾘﾝｸはこちら)｡
　福島瑞穂氏も同じような主張をしていましたが，経済学的には明らかに誤っています。派遣雇用と賃金の低下は全く無関係です。すなわち一国の経済が必要とする労働力の量は経済水準によって決まっています。通常はＹ=Ｆ(Ｋ,Ｌ)(Ｙ:国民所得，Ｋ:資本，Ｌ:労働)という生産関数で定義されます。問題はＹ＜完全雇用国民所得水準になったときです。このとき当然，Ｌ＜完全雇用水準にもなります。そのときの政策選択肢としては，あくまで正規労働を維持して失業者は失業手当で救済するか，それとも賃金は下がっても取り敢えず派遣で雇用は提供し，浮いた財源は他の事業に使うかの２つに１つです。

　いくら派遣制度を廃止しても正規雇用にあぶれた人が正規雇用されることはありません。何度も言うようにすでに不況は97年後半から始まっていました。小渕内閣で取られた措置は後者を実施したに過ぎません。
②"藤井財務相は28日の円の急騰に際して｢人為的な為替政策はおかしい｡ﾄﾚﾝﾄﾞは異常でもなんでもない｣と発言したが､この発言が更に円高に拍車をかけると､今度は慌てて｢為替は安定的なのが望ましい｡やや円高になり過ぎている｣などと発言を修正しました｡(中略)輸出関連企業による外需依存体質から内需主導型に転換を目指すために､民主党は円高を容認しようとしたようですが､そんなことが簡単に出来るわけがありません｡"(ﾘﾝｸはこちら)
　民主党政権を擁護するわけではありませんが，円高を容認するとかしないとかという発想が間違いです。所詮，変動相場の均衡価格は一国の経済の状況を反映するのであって，上がった投機価格はまた下がってきます。だから放っておけばいいのです。いやそういう撹乱要因は許せないと主張する人は投機行為は経済にとって本質的に必要なものではないのですから，値幅制限の強化など制度的な投機制限を主張すべきです。政府が傍観しているからﾀﾞﾒだ云々の議論は意味がないように思います。
２．人民元問題
　人民元は検索しても全くﾋｯﾄしません。市場で決定するﾄﾞﾙﾚｰﾄよりｼﾅ政府が勝手に決定する人民元ﾚｰﾄこそ問題にすべきでしょう。