鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が、市役所の壁や阿久根漁港の防波堤に絵を描く「アート事業」の予算を専決処分した問題で、住民団体「阿久根の将来を考える会」(川原慎一会長)は28日、「違法な専決処分による事業」として、港湾を管理する県に対し、漁港施設の市の占有許可を取り消すように求める要望書を提出した。
県漁港漁場課によると、竹原市長は漁港施設の占有許可を5月26日に申請した。神奈川県藤沢市の画家(71)の指導で、漁港の北側防波堤の一部約640平方メートルに肥薩おれんじ鉄道沿線の中・高校生に海をテーマにした絵を描かせるとの内容で、県は6月18日に許可したという。
阿久根市のアート事業費は市庁舎の壁画も含めた総額500万円。竹原市長は、県から「臨時議会の招集」を求める是正勧告を受けた5日後の今月7日、専決処分した。
県は23日、この専決処分は「明らかな地方自治法違反」として2度目の是正勧告をしており、川原会長は「違法な専決処分に基づく事業で、市民の合意もなく不当。中・高校生が描いている様子もなく、申請時の約束違反の疑いもある」と主張している。
同課の水迫光広課長は「市に状況を確認し、対応を検討したい」と答えた。
=2010/07/29付 西日本新聞朝刊=