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キヤノンが SED を断念した。
→ キヤノン、子会社SED解散へ
しかし、決断が遅すぎる。SED から撤退するべきだということは、私は2年半前に述べている。全文を引用しよう。
ただし、これは、東芝だけの問題ではない。どこの会社にも起こることだろう。
ちなみに、キヤノンのSED も同様だと思う。これは非常に優れた技術だと思ったし、推進するべきだとも思ったが、実用化にあまりにも時間を食いすぎている。また、特許関係でもトラブルをかかえている。相手は「共存共栄」をめざさず、「キヤノンを食い物にしてやろう」という会社だ。こういう会社と組むのは、ひどい結果を招く。そこで、特許回避のために、自社開発技術を採用する、という方針を取ったが、その方針も、ろくなものではなかろう。二流の自社技術を使えば、別のトラブルをかかえる。
キヤノンはもはやSEDから撤退するべきだ。このまま突き進んでも、東芝以上の莫大な損失をかかえることになるだろう。時代はもはや有機ELの方に進んでいる。SEDはあまりにも時代遅れになりすぎている。
SEDが提案されたころは、液晶テレビの画質はブラウン管よりもひどく劣っていたが、今はあまり遜色がない。IPS液晶ならば、特に不満のない画質だ。とすれば、SEDの優位点(画質)はもはや存在せず、価格が大幅に高いというデメリットだけが残ることになる。もはや勝負にはなるまい。さっさと撤退するべきだろう。
ただし、撤退はできない。なぜかというと、キヤノンの社長は、SED開発のリーダーだったからだ。自分が手塩をかけた技術をあっさり捨てることはできまい。「これに命運を賭ける」と思うはずだ。そして、そのあげく、沈没するだろう。「SEDとともに去りぬ」だ。……東芝の二の舞ふう。
というわけで、経営者の経営判断はとても大切だ、ということになる。勝てる勝負を続けるのは容易だが、負ける勝負から引き上げるのは難しい。必ず損失が残るからだ。しかし、勝負を続ければ、さらに大幅に損失が出る。最終的には、倒産というハメにもなる。
キヤノンはそうなりかねないが、なんだか、これ、日本経済にも似ていますね。 (^^);
( → 泉の波立ち 2008年2月18日c の [ 付記1 ] )
上では「撤退すべきだ」と記した上で、「撤退できないだろう」と予測している。「倒産するかも」と皮肉っている。だが、倒産する前に撤退したので、その分、マシかも。 (^^);
[ 余談 ]
キヤノンはともかく、日産の方は、どうなるかわからない。ひょっとしたら、倒産するかも。
→ リチウム電池とハイブリッド