【ソウル西脇真一】「韓国併合に関する条約」調印から22日、100年を迎えた。29日には発効から100年になる。韓国では1910年のえと「庚戌(こうじゅつ)」にちなみ、併合されたことを「庚戌国恥」と呼んできたが、最近は日本の植民地支配への言及が減少している。15日には植民地支配からの解放を祝う光復節の行事もあったが、ソウルではこの時期、事前の予想と比べてデモや集会は少なく「意外に静かな夏」(韓国政府関係者)となりそうだ。
22日や29日に日韓併合関係の韓国政府主催の行事は予定されていない。一方、この期間中、韓国政府系の「東北亜歴史財団」は、ソウルに日中韓の専門家を集め「韓国強制併合、その歴史と課題」をテーマに学術会議を開く。
ただ、ソウルでの集会・デモは、27日の竹島(韓国名・独島)の韓国領有権を主張する非政府組織(NGO)によるものや、29日に「3・1独立運動」(1919年)ゆかりの公園で行われる1000人規模の集会が目立つぐらいで政府関係者は、「予想したほどではなかった」という。
この関係者は、10日に発表された日韓併合100年に関する菅直人首相の談話がある程度評価された効果や、進歩系の野党が内政問題に手を取られ、運動を指導する余裕がないとみられることなどを背景に挙げた。
光復節の李明博(イミョンバク)大統領の演説でも、韓国メディアの話題は「統一税」が中心。釜山・東西大の張済国(チャンジェグック)副総長は「経済成長や国際舞台での活躍で韓国国民が自信をつけ、日本に対し余裕が出てきたことも背景にはあるだろう」と話している。
毎日新聞 2010年8月23日 東京朝刊