「競泳パンパシフィック選手権第4日」(21日、米カリフォルニア州アーバイン
男子200メートル平泳ぎは北島康介(27)=日本コカ・コーラ=が今季世界最高の2分8秒36で圧勝し、100メートルと合わせた2冠に輝いた。北島は予選を2分9秒23でトップ通過。決勝で大きくタイムを伸ばし、2位のブレントン・リカード(オーストラリア)に1秒61差をつける快勝で完全復活。11月の広州アジア大会代表を確実にした。冨田尚弥(中京大)は4位、日本選手権3冠の立石諒(NECグリーン)は決勝に進めなかった。男子800メートル自由形の松田丈志(東海SC)は7分51秒87で3位に入り、同200メートル個人メドレーの高桑健(自衛隊)は1分58秒06で4位。
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文句なしこれが、本物の世界王者の貫禄と実力だ。誰よりも大きなストロークで、滑らかに力強く進んだ。男子200メートル平泳ぎで北島が五輪2大会連続2冠の王者の風格を見せつけた。ジュルタ(ハンガリー)が欧州選手権でマークした今季世界最高をあっさり更新。一度もトップを譲らなかった27歳は「高いレベルで泳げたのはすごく自信になった」とうなずいた。
腕のかきとキックが鮮やかに連動した。50メートルの通過は2年前に2分7秒51の日本記録(当時世界新)を樹立した時のペースを上回る28秒87。これだけ飛ばしても、4位に終わった4月の日本選手権とは違い、後半もペースが落ちない。地力がついてきた証しだろう。「最後は少し体が浮いた」と言うが、ただ一人2分8秒台で泳ぎ切った。2位のブレントン・リカードに1秒61という大差をつけての快勝劇だった。
五輪後に約1年間競技を離れた。今の拠点、ロサンゼルスの南カリフォルニア大でコーチから技術指導をほとんど受けていない。1人で映像を分析しながら感覚の微調整を重ねた。自費でトレーナーを日本から招き、体の手入れも怠らない。コーチとの二人三脚が常識の競泳界では異例の独り立ちに、恩師の平井コーチは「北島は本当のプロ、究極のアスリートになった」と舌を巻いた。
国際大会復帰戦となった19日の100メートル平泳ぎでは、世界記録まで0秒46に迫る今季世界最高の59秒04で優勝。そして200メートルでも今季世界最高での優勝で、堂々の2冠。昨年11月の国内復帰戦での2分14秒31から9カ月でここまできた。「もうマイナスから(のスタート)じゃない。次のことにトライしていく」。米国での新たな挑戦を見事に形にした男は、さらに先へと視線を移した。