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所得隠し:船井総研関連会社が1億円 利益圧縮と指摘

 経営コンサルタント大手「船井総合研究所」(大阪市)グループの不動産会社「船井エステート」(エ社、東京都港区)が東京国税局の税務調査を受け、約1億円の所得隠しを指摘されたことが分かった。物件を売却する際、親会社の「船井財産コンサルタンツ」(コ社、同区)がコンサルタント業務を行ったよう装って利益を圧縮していたといい、追徴税額は重加算税を含めて約4000万円に上るとみられる。エ社は既に修正申告した模様だ。

 関係者によると、エ社は06年1月に都内の所有物件を売却。この際、コ社が物件調査やテナント業者とのトラブル調整などに当たり、購入者からコンサルタント料1億円を受け取ったとして、エ社としての収入は20億円しか計上しなかった。

 国税局は「コンサルタント業務には実体がなく1億円はエ社からコ社への寄付金に当たる」と認定。エ社の実際の収入は21億円で、一部をコ社に付け替えたと判断した模様だ。一定額を超える寄付金は税法上、損金に算入できず課税対象となる。

 船井総合研究所が大株主となっているコ社は、個人や法人に不動産など財産の活用法や税制面のアドバイスをすることを主業務としている。エ社はコ社が100%出資して00年に設立し、社員はすべてコ社からの出向という。民間信用調査機関によると、09年12月期の売上高は約9億円。コ社は「国税当局と見解の相違があったが、指摘に従うことにした」としている。【加藤隆寛】

 ◇「ミニバブル」時代のツケ、払わされるケースも

 エ社が所得を隠したとされる06年は、都市部を中心とする不動産価格が高騰した「ミニバブル」(05~07年ごろ)の真っ最中。当時、適正な税務申告を怠ったとして不動産業者が近年になって国税当局のターゲットとなり、多額の追徴課税でツケを払わされるケースが目立っている。

 国税庁によると、09年度に検察庁に告発した脱税事件149件のうち業種別で最も多いのは不動産業の15件。記録が残る96年度以降、告発された不動産業は06年度までは1けたで推移していたが、07年度は10件、08年度は14件と増加し、09年度は最多に。不動産業ではない企業や個人が不動産譲渡取引に絡んで告発された例も、09年度は12年ぶりに5件に達した。

 今年4月には、東京都港区の不動産会社とその社長らが計約1億7000万円を脱税したとして告発された。

 浮沈の激しい不動産業への課税について、ある国税庁幹部は「『金のある時は(税を)払いたくない、ない時は払えない』なんて通用しない。悪質な所得隠しの時効は7年なので、今後も目を光らせていく」と語気を強めた。【加藤隆寛】

毎日新聞 2010年8月24日 2時30分

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