◇SRC14
朝青龍刺客、強かった−。チーム朝青龍から送り込まれたジャダンバ・ナラントンガラグ(34=モンゴル)が中量級の実力者・郷野聡寛(35)に判定ながら完勝。セコンドに付くと思われていた師匠の元横綱朝青龍は“ドタキャン”となったが、ナラントンガラグは、ライト級のタイトル戦線にも食い込める実力を証明した。ミドル級タイトルマッチは王者ジョルジ・サンチアゴ(29=ブラジル)が死闘の末、挑戦者三崎和雄(34)に5回4分31秒TKO勝ち、2度目の防衛に成功した。
師匠の朝青龍もさぞかしご満悦だろう。ナラントンガラグが実力者・郷野に完勝だ。
K−170キロ級では魔裟斗、クラウス、ブアカーオらと互角の戦いを演じてきたが、総合の実力は全くの未知数。百戦錬磨の郷野の相手ではないと思われたが、フタを開ければ、ビックリだ。
とにかく、アグレッシブ。遅れて出てくる見えないハイキックも独特。かと思ったら飛びヒザもある。モンゴル相撲の心得もあるようで“師匠譲り”の腰の強さで郷野を何度も投げた。けりをつかんだ際、勢い余って、反則の金的キック。おじぎをして謝罪する謙虚さも見せた。
朝青龍がセコンドに付くということで話題が先行したが、大会前日になって、朝青龍が“ドタキャン”。拍子抜けの感があったが、闘志、身体能力、どれを取っても朝青龍が惚れ込んだ男だけのことはある。
「朝青龍さんには“相手に勝つ前に自分に勝て”と言われた。試合後、電話をしたら、おめでとうと言われた。チーム朝青龍の1号として、責任が果たせてうれしい」とニッコリ。空位のライト級タイトル戦線。朝青龍刺客がダークホースに浮上したのは間違いない。 (竹下陽二)
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