『日本統治時代を肯定的に理解する』
本書は4年前に故人になられたカナダ在住の韓国人朴賛雄氏が書いたものです。家内が解説文(弟さんが書かれたもの)の翻訳や編集のお手伝いをした関係で、横で色々話を聞いていました。著者は昭和元年生まれ、京城師範付属第2小、京畿中学卒で本書の本文は最初から日本語で書かれていたそうです。
昭和の京城、朝鮮の様子や御自身の少年時代から青年時代が描かれており、日韓併合が良いとか悪いとか最初から結論をつけて書かれたものではなく。当時を回想して淡々と書かれた文章が非常に読みやすく、あっという間に読んでしまいました。
著者は朝鮮半島で最も穏やかだったのは日本統治時代であり、解放後は北が左翼独裁、南が右翼独裁になり、韓国は民主化されたと思ったら金大中・盧武鉉の親北政権になってしまったという視点です。朴正煕時代はカナダで韓国民主化の運動のリーダーをしていた方で、私からすると朴正煕時代に対しては少し厳しすぎるのではないかと思うのですが、北の方はさらに深刻であると認識されていることからも、決してバランスを欠いた見方でないことが分かります。
日本統治の良かった点も悪かった点も書かれており、日本国内で「全部良かった」「全部悪かった」と二者択一のようになってしまっている議論とまた異なった新鮮さを感じます。韓国の中ではとてもこんな議論はできませんが(著者はそのような状況を恥じている)、北朝鮮が解放されたらお年寄りの中でこういう話を堂々とする人が出てくるかもしれないとも思いました。
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