議会を無視した専決処分の乱発などで住民からリコール(解職請求)運動の署名活動を起こされている鹿児島県阿久根市の竹原信一市長は23日、4カ月ぶりの議会開会となる臨時市議会の25日招集を報告するために県庁を訪れたが、伊藤祐一郎知事に「リコール運動中のパフォーマンス」と面会を拒否された。竹原市長は県庁で記者会見を開き「リコール運動に踏み込んだ発言は知事の値打ちを下げる」と批判した。
竹原市長が、すべての報道機関の取材に応じるのは約9カ月ぶり。ブログに障害者を差別的に記載したことが昨年12月に問題化して以降、自ら選ぶメディア以外は拒否していた。
県によると、市側の面会要請は23日朝にあり、知事側は「リコールの手続きが始まっている」と拒否した。しかし、竹原市長は仙波敏郎副市長を伴って同日午後、知事室を訪問。対応した布袋(ほうたい)嘉之知事公室長は「はっきりと断ったにもかかわらず、マスコミを連れてみえるのは明らかにパフォーマンス。付き合えない」とする知事の考えを伝えて面会させなかった。
伊藤知事は7月、市議会と対立して6月定例会を開かず、臨時会招集請求にも応じない市長に対し、地方自治法に基づき2度も是正勧告したが、市長は従わず、仙波副市長の選任なども専決処分。伊藤知事は「違法状態を是認するのか、市民が意思を示してほしい」とリコール運動への期待を語っていた。
竹原市長は記者会見で、臨時議会の招集について「仙波副市長の進言で専決処分は議会で不承認となっても有効と分かり、開かない理由がなくなった」と方針転換の理由を説明。リコール運動が成立した場合の出直し市長選にも「出る」と、立候補の意欲を表明した。今回取材に応じた理由は「メディアへの敵意が和らいだ」と述べた。
=2010/08/23 西日本新聞=