♪憲法の部屋♪
近代立憲主義:日本国憲法は近代立憲主義に基づいている。近代立憲主義とは、政治権力を「人の支配」ではなく
「法の支配」、すなわち国家権力が憲法の制約を受け、国政が憲法の規定に従って行われるという考え方である。「個人の尊厳(=個人の尊重)」を最高の価値として、それを実現するために、基本的人権を保障することに目的を置き、その手段として政治権力を、それぞれ異なる部局に担当させ(権力分立あるいは三権分立、立法・行政・司法)、権力が一個人や一部局に集中しないようにする憲法の仕組みである。
外見的立憲主義憲法:近代革命以降制定されたドイツのプロイセン憲法や大日本帝国憲法は「憲法」の名称をもっ
ているが、フランス人権宣言16条の趣旨と随分分かれ離れた憲法であり、このように外観だけ近代憲法をまねた憲法のことである。
法の支配:近代憲法の基本原理である。@憲法の最高規範性の原則(硬性憲法)、A基本的人権の尊重の原理(
権力によって侵されない個人の権利)B民主主義の原理(国民主権・法や政治の決定についての適性手続きの保証)、C権力の分立の原理(権力の集中や恣意的行使をコントロール)が全てあって法の支配といえるのである。
※「法の支配」と「法治主義」の違い…法の支配は裁判による人権保障がある、つまり人権保障を含むが、法治主義は歴史的背景においてしょうがないから"法治"と下にすぎず、人権を排除するものだった。
夜警国家(消極国家):19世紀まで国家の役割は国防と警察のみに限定し、国家は国民生活に介入しないこととさ
れた。憲法の規定する基本的人権は自由権(とくに財産権)が中心であり、これにより経済活動が自由となった(自由主義・資本主義)。
社会国家(積極国家):19世紀の経済の自由競争により、貧富の差が増大したので、国家が国民生活(とくに経済
領域)への積極的介入が必要となり、福祉政策により国民の実質的平等をはかることが必要になった。憲法に規定する基本的人権に社会権が加わることとなった。
公共の福祉:この言葉の理解の仕方は大きく分けて2通りある。1つめは外在的制約説で、公共の福祉を人権の外
にあって人権を一般的に制限する原理と捉える。2つめは内在的制約説(通説)で、公共の福祉はすべて人権をできる限り平等に保障してゆくために各人権に内在する原理であり、人権同士の矛盾や対立を調整する役割を果たすとされる。
八月革命説:日本国憲法の制定の正当性をどう説明するかが問題になり、これに的確な答えを示したのが八月革
命説である。
日本はポツダム宣言を受諾したが、その過程で同宣言が天皇主権という国体を害しないものと了解してよいかという日本政府の質問に対し、連合国は「最終的な日本国政府の形態」は、「日本国民の自由に表明された意思」によって決定されるべきものであるという回答があった。これは、従来の神権主義とは相容れない国民主権主義を意味している。したがって、日本国憲法の制定をまたずに、降伏によって天皇主権は否定され、日本の政治体制の基本原理として国民主権が採用されたと解される。明治憲法は形式的に廃棄されなかったけれども、実質的に重大な変更をうけ、天皇主権を変更できないというような制限は除かれた。このような国家の基本原則の変更は、まさに法的な革命であり、1945年8月の降伏は、この意味で革命をもたらしたといえる。日本国憲法はこの革命の結果主権をもつことになり、憲法制定権力を与えられた国民がその代表者を通じて制定したところに、その正当性の根拠が求められることになった。
選挙制度:選挙制度(普通選挙)には重要な4つの原則がある。@平等選挙は選挙権の価値が平等であること、つ
まり1人1票を意味する。これは憲法14条1項や44条を根拠とする(判決有り)。A秘密選挙は憲法15条4項をその根拠とし、投票を秘密にすることにより、選挙人が自由な意思で投票できるようにするものである。どの候補者に投票したかだけでなく、棄権したがどうかも秘密である。B直接選挙は選挙人が自ら直接に代表を選定するということは当然であり、それが原則となったものである。C自由選挙は選挙人の自由な意思を尊重し、選挙人には棄権の自由と選挙運動の自由があるということである。なお、選挙運動の自由に関しては「戸別訪問の禁止」などといった問題がある。
統治行為論:裁判において、高度な政治性を有するものについては(違憲か否かの法的判断は純司法的機能をそ
の使命とする司法裁判所の審査には原則としてなじまないようなもの)、それが一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外のものであるとする論である。
「二重の基準」論:自由権の制限をする法令の合憲性審査基準に関する議論である。すなわち、精神的自由権を制
限する法令の合憲性を審査する場合には経済的自由権を制限する法令の合憲性を審査する場合に比べて、より厳格な審査基準を用いるべきであるというものである。というのも、経済的自由権を制限する法令に対しては、こえを批判する世論の力や選挙によって修正を施すことができるが、精神的自由権を制限する法令は、世論や選挙による民主的な修正プロセスそのものを断ち切ってしまう危険を有するからである。
また、精神的自由は上述の理由から「優越的地位」の理論が働き、強い保障が必要なのである。
利益衡量論:人権の制約の合憲性を判断するとき(とくに外面性の精神的自由権の制約のように、強く保護を受け
る人権の制約の場合)、公共の福祉のような一般的な抽象概念を利用するのではなく、人権のもつ価値とこれを制約することによって得られる利益の価値とを比較する作業が有効である。これが利益衡量論である。
精神的自由権の制約をどう合理化するのか?
○明白かつ現在の危険:これは、ある法律が人の表現行為を処罰できる規定を設けているとき、その規定の適用
を、法の防止目的とする実質的害悪を引き起こす明白にして差し迫った危険を作りだす状況に限るという基準である。
○明確性の原則:自由な言論を妨げる不明確な法の規定を否定する原則である。当該規制の範囲基準が不明確なときは漠然性の上で無効である。
「プライバシー権侵害」の成立要件
@(公開された内容が)私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのある事柄であるこ
と。
A一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合、公開を欲しないであろうと認められる事柄であること。換言すれば、一般的感覚を基準として、公開されることによって心理的な負担、不安を覚えるであろうと認められる事柄であること。
B一般の人々に未だ知られていない事柄であること。積極的規制:社会的積極規制とも言われ、「福祉国家的理想のもとに、社会経済の均衡のとれた調和的発展を企
図」するという見地から、「すべての国民にいわゆる生存権を保障し、その一環として、国民の勤労権を保障する等、経済的劣位に立つ者に対する適切な保護政策を{憲法が}要請して」おり、そこから生ずる積極的な社会経済政策の実施とがある。これには明白性の原則(明らかに違憲とされうる誤りがなければ、裁判所は法律を意見と判断すべきでないとする)が存在し、合憲性の推定機能は高い。
消極的規制:警察的消極規制とも言われ、「個人の自由な経済活動からもたらされる諸々の弊害が社会公共の安
全と秩序の維持の見地から看過することができないような場合に。消極的に、かような弊害を除去ないし緩和するためになされる規制である。これには「厳格な合理性」の基準(法律の定めた人権の規制目的やそれを達成する手段について、入念な審査を加えて合理的か否かを判断すること)があり、合憲性の推定機能は低い。
プログラム規定:憲法条項の中で、政治的綱領ないし政策的指針を規定したにすぎない規定をいい、個人の具体的
権利とはいえない規定のことを指す。
判例 参考にして下さい。
○三菱樹脂事件(最大判1973・12・12民集27・11・1536)…私人間における人権規定の効力
○恵庭事件(地判1967・3・29下刑9・3・359)…違憲審査の回避
○砂川事件(最大判1959・12・16刑集13・13・3225)…第9条と国の私法的行為・司法審査と条約
○長沼ナイキ基地訴訟(地判1973・9・7判時712・24)…前文の効力と平和的生存権・第9条と自衛隊
○津地鎮祭事件(最大判1977・7・13民集31・4・533)…政教分離原則と神道式地鎮祭
○愛媛玉串料訴訟(最大判1997・4・2民集51・4・1673)…政教分離原則と公費による玉串料支出
○東大ポポロ事件(最大判1963・5・22刑集17・4・370)…学問の自由と大学の自治
○『宴のあと』事件(地判1964・9・28下民15・9・2317)…プライバシーの権利とモデル小説
○ノンフクション『逆転』事件(最判1994・2・8民集48・2・149)…プライバシーと前科の公表
○「チャタレイ」事件(最大判1957・3・13刑集11・3・997)…表現の自由とわいせつ文書の規制
○『悪徳の栄え』事件(最大判1969・10・15刑集23・10・1239)…表現の自由とわいせつ文書の規制
○「四畳半襖の下張」事件(最判1980・11・28刑集34・6・433)…表現の自由とわいせつ文書の規制
○博多駅事件(最大決1969・11・26刑集23・11・1490)…報道・取材の自由とTVフィルムの提出命令
○「北方ジャーナル」事件(最大判1986・6・11刑集40・4・872)…報道による名誉権侵害と差止救済
○営業の自由と小売市場の許可制(最大判1972・11・22刑集26・9・586)
○営業の自由と薬局開設の距離制限(最大判1975・4・30民集29・4・572)
○営業の自由と公衆浴場の距離制限(最大判1989・1・20刑集43・1・1)
○朝日訴訟(最大判1967・5・24民集21・5・1043)…生存権と生活保護基準
○堀木訴訟(最大判1982・7・7民集36・7・1235)…障害福祉年金と児童扶養手当との併給禁止