「トリオ・ザ・ミルミル」の活躍で“フン詰まり”打線も活性化。
こうして完成したヤクルト新救援陣。増渕、松岡、林(LIM)の頭文字を取ればMMLとなるところだが、ここは今年の「ミルミル野球」と、母上がヤクルトレディである増渕に免じて、M・M・LIMの「トリオ・ザ・ミルミル」とでもしておきたい。かなり強引ではあるが。
悪玉菌をやっつけて、生きて白星を小川監督代行まで届ける。
序盤にリードを奪えば勝ちが計算できることで、フン詰まりの打線も活性化。
しぶとくとった点数を、みるみる投げて、みるみる凡退、守り切る。チームイキイキ、トリオ・ザ・ミルミル。
そんな極端な連敗、連勝が続く「ミルミル野球」のヤクルトではあるが、昨年の戦い、そして今季の連勝中の戦いぶりをみれば、スワローズが力のあるチームであることは間違いない。
4、5月に連敗したのは、選手がケガや不調に陥り、メンバーが揃わずにいたことも大きい。その証拠に、好調の波を引き寄せた小川監督代行は、高田監督の頃と比べても戦力をあまりいじっていないのである。したことといえば、青木や増渕の配置転換、新外国人にホワイトセル(この名もミルミル拡販路線の暗喩のような気がしてならない)を投入して外国人を競争させるなど、選手にちょっと目先を変えさせたこと。それだけで、チームの活性化と、勢いを引き寄せたように思える。
まるでビフィズス菌のような小川監督代行の発言。
小川監督代行は監督としてのポリシーを次のように語っている。
「監督に色がなくてもいい。結果が出ればいいのだから」
さすがはミルミル野球の長、まるでビフィズス菌ではないか。
とはいえ、昨日の阪神戦では増渕が打たれてスワローズは2連敗。調子は下降気味で、順位も5位に後退と、「ミルミル野球」を前提に考えると、悪い方にミルミル行くような嫌な予感を感じずにはいられない。
しかし、奇しくもミルミルが発売された'78年は、ヤクルトスワローズが初の日本一に輝いた年である。再発売となった2010年も何かが起きるに違いない。「ミルミル野球」の今後に注目だ。
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筆者プロフィール
村瀬秀信
1975年神奈川県生まれ。茅ケ崎西浜高校野球部卒。全国を放浪後、出版社・編プロ勤務を経て独立。エンタテイメントとプロ野球をテーマに「Number」「週刊文春」「週刊プレイボーイ」「GOETHE」などの雑誌へ寄稿。幼少期からの大洋・横浜ファンのため、勝敗に左右されずプロ野球を愉しむ術を自然と体得。趣味は球場グルメの食べ歩き。応援歌の詞の鑑賞