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赤切符:交付の自転車利用者、1326人 刑事手続き、3年で5倍--昨年

 自転車と歩行者の事故が10年間で3・7倍に激増する中、道路交通法に違反したとして刑事手続きに入る「交通切符」(赤切符)を交付された自転車利用者は09年に延べ1326人で、06年の5倍に上ることが分かった。注意喚起の「指導警告票」を渡された人は同1・5倍の約216万人。警察庁が06年以降、悪質な交通ルール違反に赤切符を積極的に適用するよう通達したことなどが背景にあるが、専門家は「交通ルール自体が社会に浸透していない」として疑問を投げかけている。(社会面に「銀輪の死角」)

 赤切符は悪質とされる交通違反をした際に交付され、刑事手続きを経て略式起訴(罰金)や起訴猶予などの判断を仰ぐことになる。車やオートバイには、駐車違反など比較的軽い違反の際に「交通反則切符」(青切符)を渡され、免許証への違反点数累計と反則金納付という行政処分だけで終わり、刑事罰は科されない制度があるが、免許証のない自転車はこの制度の対象外となっている。

 このため、同じ信号無視でも、車なら9000円(普通車)の反則金で済むところを、自転車だと5万円以下の罰金などを科され、いきなり「前科」となる可能性がある。

 警察庁は06年4月に交通安全対策推進プログラムを定め、違反した自転車への指導・取り締まり強化を都道府県警に通達。自転車の原則車道走行ルールを厳格化した道路交通法改正を国会審議中の07年3月には、歩道での取り締まり強化を指示し、改正法成立後の7月には「悪質・危険な違反には交通切符を適用する」と通達した。

 これを受け、自転車利用者への赤切符交付は06年に268人だったが、07年598人、08年903人、09年1326人と急増。09年で最も多かったのは、遮断された踏切への立ち入り436人、次いで信号無視358人、無灯火67人、酒酔い運転50人などだった。

 また、警察官が比較的軽微な違反を確認して注意喚起のため交付する指導警告票を渡された人は06年の145万1353人から09年は216万5759人と70万人以上増えた。

 ◇「分かりやすいルールに」

 こうした取り締まり強化に対し、自転車政策の提言を行うNPO「自転車活用推進研究会」の小林成基理事長は「道交法は例外や改正が多く、難しすぎる。まずは誰にも分かるような法律に改めるべきで、さらに教育を徹底してから取り締まるべきだ」と話している。【馬場直子】

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 ■ことば

 ◇赤切符

 交通違反者に交付されるピンク色の告知票のこと。受け取った違反者は検察に事情を聴かれ、最終的には簡裁で罰金の略式命令を受けるケースが多い。少年の場合は家裁送致される。自動車やオートバイでは違反点数が6点以上(無免許、酒気帯びなど)の行為をした場合に交付される。

毎日新聞 2010年8月23日 東京朝刊

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