毎日jpに掲載されるニュースには、毎日新聞に掲載される記事をそのまま載せているものと、ネット用に加工しているものがある。そうした加工がうまくいっているか確認するのも校閲グループの仕事だ。
ネットの速報ニュースをチェックしていたときのこと。「ソフトボール・○日の結果」と出てきて、その後にチーム名とスコアが続いた。特に間違ったところはなさそうなので次の記事に移る……いやいや。ソフトボールの何の大会なんだ? これは。
紙面では「日本リーグ」というカットをつけるので、本文からは「日本リーグ」という言葉を省いて、ダブらないようにしている。ところがネットではカットがつかないため、今度は、逆に本文に「日本リーグ」と補足しない限り、何の大会のことかわからなくなってしまう。
またある日は、ネットの記事で「口蹄疫」に読み仮名がついていないことに気がついた。「蹄」の字は常用漢字ではないため、読めないことも想定し、普通「こうていえき」と読み仮名を入れる。紙面では、一つのページ内に何本かの関連記事が出てきたときは、そのうちの一つの記事に読み仮名があれば十分だ。だが、ネットでは、一つ一つの記事が独立したページとなるため、それぞれに読み仮名が必要となる。
ネットを見る人は、紙面と違って、関連する記事を見ることなく、いきなりその情報にたどりつくことがある。だから、紙面で使われるとき以上に、一つ一つの情報が、その原稿内で完成されていなければならない--そんな思いで日々、パソコン画面に目をこらしている。【校閲グループ・水上由布】
2010年8月23日