英国のホメオパシー事情
今年2月、一部の日本の新聞報道で、ホメオパシー懐疑派の議員が中心となって提出した報告を取り上げ、英国国会全体がホメオパシーを否定し、NHS(英国国民健康保険サービス)がホメオパシーへの助成を中止したかのような報道がなされました。
最近この問題が決着しました。
先月の7月27日、英国政府は、英国下院の科学技術委員会の勧告には非常に欠陥があったとし、ホメオパシーの国民健康保険サービス(NHS)適用を維持する事に決定しました。
少し詳しくご説明しますと
英国議会下院の科学技術委員会が、「ホメオパシーにはプラセボ効果以上の治療上の効果はない」と結論し、政府に対して保健医療でのホメオパシーへの公費支出の停止などを勧告したのです。
しかし、NHS(英国健康保険)でホメオパシーに使われる金額は、年間約4百万ポンド(5億円程度)。
これは、NHS全体予算の内の2万5千分の1に過ぎないので、下院の論争点「プラセボ効果であるホメオパシーにNHS予算を割り振る事はできない」というのは、そもそも正当な理由でないのです。
ホメオパシーは実際には大変リーズナブルな療法なのです。
この勧告に対して、英国全土では抗議活動の輪が広がりました。
英国では既にホメオパシー180年の歴史があり、王室、貴族をはじめ、多くの国民がホメオパシーを愛用しているからです。
国会議員の中からも今回の勧告に対して様々な抗議活動が始まりました。
欧州20ケ国以上のホメオパシー団体が加盟する欧州ホメオパシー中央評議会(ECCH)のホームページ上にもコメントが掲載されています。
ECCH及び世界28ケ国のホメオパシー団体が加盟するホメオパシー国際評議会(ICH)の理事は、英国議会下院科学技術委員会のホメオパシーの調査報告を読み、英国会内外の一部、ホメオパシーに懐疑的な人々によって作成されたように思われる、この報告には深い過失があると発表しています。
英国の上院に当たる貴族院の見解です。2000年に5大代替医療( 鍼、カイロプラクティック、ハーブ療法、ホメオパシー、整骨 )の中で、ホメオパシーをもっとも危険が少ない療法と認めてその情報が貴族院のホームページに掲載されています。
ホメオパシーは、すでに200年、世界の多くの国での実践例を積み重ねてきた療法であり、漢方・鍼灸と並び、過去の多くの治癒ケース・実践例と各国での普及自体がホメオパシーの有効性を実証しています。
また、鍼灸の経絡や気功などと同じく、エネルギー医学とも言われる分野に属し、既存の科学の物差しでは、その現象を全て説明できない未知の領域にも属しており、このこと自体を、非科学的という方もおられますが、現代科学の物差しでは未だ証明されていない分野、と考えます。
『代替医療のトリック』を超えて
『代替医療のトリック』(サイモン・シン、エツァート・エルンスト著、
青木薫訳、 新潮社)を読みました。
462ページにわたる分厚い本です。
代表的な 鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法を詳しく
検証し、その他 アロマセラピー、催眠療法、人智学療法(シュタイナー)、
指圧、スピリチュアル・ヒーリング、伝統中国医学、ナチュロパシー、
瞑想など私たちの馴染みのあるものから「えっ、そんなものあるの?!」
というものまで、代表的な代替医療の検証もしています。
著者の結論を要約しますと、鍼(はり)については・・・気や経絡が存在
する科学的根拠はなく、ある種の痛みや吐き気以外の幅広い病気には
プラセボ以外の効果は期待できないが、極めてプラセボ反応を引き出し
やすく、偽りの治療でも患者の役に立っているため正当化できるのでは
ないかと、多少好意的に書かれてありました。
経絡を刺激するという点で同じ思想に立脚する 指圧・灸・電気・
レーザーなども効果は期待できない。
カイロプラクティックは・・・ある種の腰痛には効果がありそうだが、
それ以外の効果はなく深刻なリスクあり。
ハーブ療法(漢方薬など)は・・・一部のハーブには薬効があるが、
多くのものには有効性はなく医薬品との飲み合わせの問題や、有害な
重金属の含有など危険なものがある。
ホメオパシーは・・・プラセボ効果しか期待できない純粋な偽薬の典型で
夢物語にすぎない。
日本では 「ホメオパシー」 というものを全然知らない方が大半だと思い
ます。70ページにわたって大きく取り上げられていること、ヨーロッパや
インドでは正規の医療に位置付けられている事実、また、代替医療の
エース級であるらしいと、驚かれる事でしょう。
ホメオパシーのレメディーには有効成分が分子1個も入っていない、
と聞けば、ホメオパシープラセボ説には 「まあ、そうだろうな」と思われる
でしょうが、馴染みのある鍼やカイロプラクティックまでが否定されるの
には首を傾げられるのではないでしょうか。
ところで、フランス人の32%はホメオパシーのレメディを使っており、
フランスの医者の59%はホメオパシーに関心があり、6つの医学大学、
4つの獣医大学、そしてすべての薬科大学でホメオパシーが教えられている。
イギリス人の11%はホメオパシーを試したことがあり、80%はその治療に
満足しており、英王室御用達の療法である。
1996年9月ドイツのフランクフルトで、ホメオパシー誕生200周年記念国際会議が開催された時にドイツのホルスト保険大臣は 「ホメオパシーに反証をあげようとする試みは、これまでにも数多くありましたが、どれもホメオパシーの成功を否定することはできませんでした」と挨拶しており、ドイツでも、ホメオパシーは公認医学となっている。
インドの父、マハトマ・ガンジーが 「ホメオパシー・・・それは他のいかなる治療よりも多くの病気を治す。その優れた安全性と経済性には何ら疑いの余地がない。病気というのは、身体のあちこちに汚物が蓄積しているのだという自然からの警告なのだから、医学の力を借りてそれを包み隠すのではなく、自然がその汚物の除去をやってくれるに任せるのが知恵というものだ。」というように、語っている。
インドではどのようにホメオパシーが広がっていき国に認められたのか?
植民地時代、近くに病院もなく、高価な現代医学を受けらない多くの貧しい人達に、家庭の救急箱として使えるホメオパシーが国の隅々までひろがった。
インドが独立した当時の初代保健相が全国の調査をした際、国民の75%が現代医学でなくホメオパシーを中心にアユールヴェーダなど伝統の医学で健康管理を行っていた。
この調査をもとに、インドでは1952年に、国家が、ホメオパシーを国の医学として認めた。今でもインドでは人口の70%がホメオパシーを使っている。
以上の長年の幾多の事実があるにもかかわらず、ホメオパシーはプラセボ効果に過ぎない と 断定されているのです。
導入部の瀉血療法や壊血病の治療、ナイチンゲールの衛生学の歴史などは、医学史の読み物として大変面白いのですが、著者の議論の展開方法には、大きな問題点が2つあります。
まずひとつは著者が最初から「否定」の立場に立って議論して いるという点です。
表題が 『代替医療のトリック』 という事からも、窺えます。
過去の歴史の実例を挙げながら議論を展開してるので一見、公平に見えますが、実際は否定の立場から議論に入っており、論理が科学的根拠だけで展開されているので、結論が否定に導かれるのは至極当然と思われました。
2つめの問題点は効果の判定の仕方にあります。
効果を判断する際、被験者をグループ分けして偽薬を使って検証する「2重盲検法」を用いています。
もし偽薬を使ったグループと、使わなかったグループの成績が同じであれば、効果はなし、ということになります。
しかしフェアに判定したいのであれば、上記の判定方法 に加えて、「代替医療」と「通常医療」を
同じ疾患を持つ患者グループに同時に実施し、その成績データの比較を行うべきなのです。
そういった結果を示さないまま、「代替医療」に頼るべきではないと結論づけられても、何とも言いようがありませんし、短絡的だと感じてしまいました。
またこの本の中で述べられる「効果」は、単なる身体面に限っています。
身体的なもの以外にも、心理的な部分、日常生活に支障があるかどうか、後遺症、経済的な観点
など、生活を営む上で付随してくる全ての影響について、総合的に判断していただきたいのです。
要するに、具体的な検証や比較もなしに、身体上の反応だけで効果を判断し、「代替医療」のほとんどがプラセボ効果であるという理論展開をしているのです。
ホメオパシー(同種療法)は身体の自然治癒力に働きかける方法で、代替医療の中でも
西洋医学とは対極的な治療方法です。
標準化された治療とは一線を画し、一歩上の健康をめざしているものです。
西洋医学が目指す治療のエビデンスというものは、あらかじめ予想された事柄の再確認や追跡調査であることが多く、個々の多様性に柔軟に対応していく代替医療においては意味をなさないことが多々あります。
世の中には西洋医学だけでない、たくさんの治療法があるということ、そこには科学的には証明できないけれども、西洋医学で改善されなかった症状が改善されたケースがあるのは周知の事実です。
メカニズムが現代科学では説明がつかず、プラセボ効果を懸念する声もありますが、それには全く左右されない子供や家畜などに高い臨床効果を示しています。
難治性といわれる特異的な疾患において、人間自身を見つめて原因を究明し、症状を抑えるより根本から治った個々の体験の積み重ねこそが真のエビデンスではないでしょうか。
せっかく鍼やホメオパシー、カイロプラクティックなどを興味深く紹介しておられるのだから、代替療法の魅力をもう少し展開してほしいところです。
現時点の科学では解明できないが、目に見えないエネルギー治療とは何かということをさらに追求していただきたし、カウンセリングと同様、可視化できない無形の治療効果や治療家独自の能力・技術を評価するといった、相互理解の姿勢を持っていただきたいと思います。
著者は科学的根拠しか認めないといった方のようですが、自分の意見と相容れないから否定するというのは、昨今話題になっているイルカ・マグロ・クジラの問題と同様ではないでしょうか。
西洋医学と代替療法を、同じ土俵で論ずること自体に無理があるのです。
私は、身体全体は繋がっていると考えるホリスティック医療を信じているので、時には西洋医学、
場合によっては代替医療と、良いとこ取りをしていけばいいと柔軟に考えています。
そして自分や家族が受ける治療や薬の効果、副作用について他人まかせではなく、自分で責任をもって選択していきたいと思います。
そのためには、真実の情報を見極める必要があるでしょう。
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マヤズム
ホメオパシーでは,マヤズムという概念があります。
一般的に流布されているのは、遺伝的なものという考え方で流派によっ
てそれぞれ言い分が分かれていたりしますが、遺伝とは別という見方も
あります。
繰り返し出てくる症状、毎年同じ季節に出てくる症状(例:花粉症)。
ある病気があるレメディで治ったとして、しばらくするとまた再発する
場合、根元にあるマヤズムが原因の場合があります。
誰でもマヤズムは持っていて、特に現代人は,マヤズムの土壌を2つ
以上持っている人がほとんどだと言われています。
慢性病はこのマヤズム治療をすることで、完治出来る可能性がある
とホメオパシーでは考えています。
(逆に言えば、慢性病はマヤズム治療をしない限り治ることはない)
一筋縄ではいかないのが、現実ですが、マヤズム治療を出来ることが
本当のホメオパシーの見せ所だとも言えます。
マヤズムを消し去る事は出来ません。
何年もかけて勢いを弱めていき、休眠状態にすることがマヤズム治療
なのです。
マヤズムには、人類の病気の歴史にちなんで、疥癬マヤズム、淋病
マヤズム、梅毒マヤズム(ハーネマンは,疥癬・淋病・梅毒マヤズムを
発見しました。
ここまでが三大マヤズム)、後に後世のホメオパスが追加した結核
マヤズム、癌マヤズムも含めると五大マヤズムがあります。
その他、ライ病(ハンセン病)マヤズム、現代社会で発生してしまった、
人工的なマヤズムも発生し増えてきていると言われています。
派生したものを、マヤズムに含むかどうか、ハーネマンは言及して
いませんが。
ちなみに、ここでいう病名は、本当の病気を指しているというよりも、
広義に体質や傾向といったニュアンスで使っています。
自然治癒力
ホメオパシーでは、病気とは「自然治癒力の滞り」であると考えます。
言いかえてみると「生命エネルギー」といったところでしょうか。
地球上のあらゆる生物には、生命維持のためのエネルギーがなみなみ
と流れています。
だからこそ、生活を楽しみ、時には悲しんだりしながら、命がつきるまで
生きていきます。
自然治癒力はどうして滞るのでしょうか?
失恋して悲しい、叱られて悔しい、思い通りに事が進まなくてイライラ、
嫌いな人が近くにいて気分が悪い、馬鹿にされて腹が立つなど、
あらゆるネガティブな感情で自然治癒力は滞ってしまいます。
起きてしまった嫌な事柄を受け入れて流していけるなら、心の滞りは、
すぐに元の流れを取り戻すでしょう。
いつまでもこだわって、ストレスを持ち続けるのならば、心は滞ったまま
になり、不眠、寝汗、頭痛、肩こり、腰痛、胃痛、皮膚の痒み、ウツなどの
症状が出てくるでしょう。
また、外的な影響、例えば、飲食物の摂り過ぎ、嗜好品の摂り過ぎ、暑さ
寒さ、化学薬品などでも滞ります。もちろん、怪我、事故、手術からも滞り
ます。
ホメオパシーでは、「症状は病気の結果」であるととらえます。
病気は自然治癒力の滞りです。
でも、原因である病気は目で見ることができません。しかし、症状が
病気を探り出す手がかりになります。
症状がなければ病気を見つけ出すことができません。病気を見つけられ
なければ、病気と同種のレメディーを選ぶこともできないのです。
心身の症状は、治ろうとしているサインなのです。
せっかくサインを出してくれているのですから、症状を抑制することなく、
病気ごと押し出してあげたいものです。
地球上の生物すべては、自然治癒力という素晴らしい力を与えられて
生まれてきています。
自己免疫力と、ほとんどイコールだと思います。私達は、本来、病気を
自己免疫力だけで治す力を持っているはずなのです。
ホメオパシーのレメディーは、本来の流れを取り戻すためのきっかけを
与えてくれるものです。あとは、自然治癒力が発動し、心身の問題を
自らがどんどんと解決していくのです。
自分を治すことができるのは、自分の自然治癒力だけです。
ホメオパシーは、スイッチオフになっている自然治癒力を、スイッチオン
にする療法です。
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ポーテンシー
レメディーの希釈震盪(きしゃくしんとう)の比率を Potency ポーテンシー
と言います。
希釈震盪の繰り返しが多いレメディーは「高ポーテンシー」ということで、
比較的少ないものが「低ポーテンシー」となります。
一般的に、ポーテンシーが高ければ高いほど、作用がより強いと
されています。
原物質は、天文学的に希釈することで無毒化します。
そして、ハーネマンは、希釈した物質に振動を与えることで、その物質の
潜在能力が増大し、より効果的に作用することを発見しました。
ハーネマンの往診カバンの中に入っていたレメディーが、移動によって
自然に揺り動かされていました。こうして、振動させることの重要性が
偶然にも見つけられたのです。
一見、物質は薄められれば薄められるほど、その潜在能力も弱く
なりそうです。しかし、ハーネマンは、それが逆であることを発見したと
いうことになります。
物質を薄めると、その潜在能力が弱くなるのではなく、毒性の力が弱く
なるだけです。
ホメオパシーでは、物質の持つ毒性を必要とはせず、その物質が持つ
毒の情報だけが欲しいのです。
薄めるだけでなく、叩くことをプラスすることで、この情報の「潜在能力」、
分かりやすく言いかえれば、物質の持つ活力が大きくなるというわけです。
ポーテンシーのフォーム(単位)には、X、C、M、LMの4種類があります。
Xフォームは、原物質を10倍に希釈し、10回の震盪をし、これを繰り返し
たもの。例えば、10倍希釈10回震盪を9回繰り返せば、9xという
ポーテンシーになります。
Cフォームは、100倍に希釈し、100回の震盪をし、繰り返したもの。
100倍希釈震盪を30回繰り返せば、30C になります。
1Mは1,000Cであり、CMは100,000C、MMでは1000,000Cのことです。
最後のLMは、少し変わっています。LMは5万倍希釈を意味します。
しかし、実際は、3Cを500倍に希釈し、さらに100倍に希釈し、100回の
震盪をしたレメディーが、LM1です。
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治癒の方向性
レメディーをとり、自然治癒力がスイッチオンされると、どのように慢性病
が治っていくのでしょうか?
ホメオパシーには、治癒の方向性の法則「ヘリングの法則」というものが
あります。
ヘリングは、アメリカのホメオパスドクターであり、ハーネマンの弟子
でした。
ヘリングの法則は、ハーネマンの出版物の中で、ハーネマンによって
発表されました。
弟子の功績をたたえ、治癒の法則にその名をつけたのです。
レメディーによって自然治癒力が発動し、治癒が始まり出すと、病気が
出口へ向かう一定の方向性を持ちます。
それを法則化したのがヘリングでした。
ヘリングは、5つの治癒への方向性を発見しました。
1 上から下へ (手足などの末端へ移行している場合)
2 中から外へ (体内に溜まっていたものが体外へ移行している場合)
3 心から体へ (頑なな心が解きほぐされて、体へと移行している場合)
4 重要な器官から、より重要でない器官へ
(肝臓の痛みはなくなったが痰が出る、など)
5 逆順序の法則 (以前患っていた症状が戻ってきている場合)
1〜5の方向に沿って症状が移行している場合、症状を押し出そうと
自然治癒力が働いていることが窺えます
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