「加害者の声を記録する責任感じた」(下)

 「戦争経験がなくても、日本人はどんな形であれ、祖国の過去を負担に感じていました。意外でした。『殴った方はいつも枕を高くして寝ているのに、殴られた方ばかりがこのようにずっと悔しい思いをしなければならないのか』と思いながら始めたドキュメンタリー制作だったのですが」

 一番記憶に残っているのは、「日本による韓国併合は違法」と訴える日本人市民活動家の言葉だそうだ。

 「『われわれは韓国ではなく、自分たちのためにやっている。日本の正義を立てなければならない』と言っていました。徹底して謝罪と補償をしなければ、その業(ごう)はどんな形であれ、ブーメランのように戻ってくるというのです。日本を通じ、わたしたち韓国人も感じるところがあれば、と思います。知らず知らずのうちに、韓国人もいつ加害者になるか分からないからです。韓国に来て、やっとの思いで暮らしている外国人労働者や、国際結婚家庭の外国人妻たちがそうではないでしょうか」

 パク・プロデューサーは1996年にアリランTVに入社、主に国楽(韓国の宮廷音楽)番組やトークショーを担当していたが、2005年からドキュメンタリー制作を始めた。初の長編ドキュメンタリーでは、パレスチナの紛争地域を実際に歩き回った。現場に足を踏み入れ、文字通り「死ぬほどつらい思い」をして作るドキュメンタリーに魅力を感じた。

 「『戦争は、これから始まるぞ、と言って始まるものではない。本当に徐々に始まっていった』と話した旧日本軍元兵士がいました。そして、『韓国は今も休戦状態なの?』とわたしのことをじっと見詰めました。この地で、2度と戦争や侵略といったことが起きないよう、わたしの仕事が少しでも役に立てればと思います」

金南仁(キム・ナミン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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