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がん攻撃を指示する細胞、活性化に成功 北大など研究

2010年8月22日9時51分

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 がんを攻撃する細胞だけでなく、その細胞に攻撃の指示を出す細胞の働きも活発にすることでがんに対抗する治療法を開発したと、北海道大や東京慈恵会医大、近畿大、産業医大などの研究グループが17日、発表した。悪性の乳がん患者のがん細胞が消えるなどの効果を確認したという。

 がん細胞の表面の分子(ペプチド)をワクチンとして患者に注射することで、がん細胞を攻撃する役割の細胞に敵を見分ける力を持たせ、攻撃させる治療法を用いた。がんを攻撃するキラーT細胞の働きを活発にする方法は以前からあるが、グループは新たに、キラーT細胞に指示を出すヘルパーT細胞も活性化させるペプチドを、40個のアミノ酸を結合させて開発した。

 6人に投与したところ、抗がん剤や放射線治療の効果がなかった乳がんの女性患者は、約2カ月後にコンピューター断層撮影(CT)の画像でがん細胞が完全に消えた。大腸がんの男性患者は転移していた肺のがん細胞の成長が止まった。ほかの2人も免疫力が上昇。重い副作用は見られなかったという。

 北大の西村孝司教授は「より効果的なアミノ酸の組み合わせをさらに研究すれば、十分な抗がん効果が期待できるかもしれない」と話した。神戸市で22日に始まる国際免疫学会議のシンポジウムで研究成果を発表する。(諸星晃一)

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