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・1/27国土交通省に「顔認証システム」実験中止を申し入れ
・「顔認証システム」実証実験の危険性を訴える 記者会見
・「顔認証システム」導入実験及び「監視カメラ」に関する国会議員アンケートの回答
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1/27 国土交通省に「顔認証システム」実験中止を申し入れ
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1月27日に、監視社会を拒否する会・共同代表の伊藤成彦さん(中央大学名誉教授)・北野弘久さん(日本大学名誉教授)・田島泰彦さん(上智大学教授)、吉川春子参院議員(共産党)、弁護士、市民が、照屋寛徳衆院議員(社民党)の紹介で、国土交通省を訪れ、地下鉄・霞ヶ関駅での「顔認証システム」実証実験の中止を求める申入書を提出した。【申入書は別掲】
国交省は申し入れを拒否し5月実験実施に固執
関口幸一・鉄道局総務課長ら国土交通省側は、「テロ対策のために必要な実験」であり中止する考えはないと発言。「四月から一〜二ヵ月程度」というこれまでの新聞発表とは異なって、「五月上旬から約二週間」の予定で、かつ「一般乗客が使用しない改札口一カ所でアルバイトをサクラにして実験する」などと述べた。「たんなる技術面の実験でありプライバシー問題は先のこと」と言ったり、「公権力のカメラではなく、鉄道会社の施設管理権の範囲なので問題ない」とも答えた。要請団は、@いやなら鉄道を利用するなという姿勢は問題だ、A国民の権利(肖像権)を侵害する憲法違反行為をやめる、B「顔認証システム」は「テロ対策」として有効性は持ちえない、C警察庁が関与するなど運用面に問題がある、D法的問題や運営について開かれた議論を行うことなく一省庁の専決で実施するのはおかしい、と実験の中止を強く求めた。
【研究者11名が2005年11月に発表した実験中止声明に賛同した方々の署名も同時に提出しました。】
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記者会見で「顔認証システム」実証実験の危険性を訴える
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国土交通省への申し入れ行動を終えた要請団は、午後4時すぎから、衆院第二議員会館第2会議室において記者会見を行った。
田島泰彦さんが、「昨年11月に研究者11名が実験中止を国土交通省と運輸政策研究機構に要請したがなんの返答もないために、本日、中止要請への一五八名の賛同署名をたずさえて、国土交通省に実験中止を申し入れた」と報告した。
吉川春子参院議員は「あたかも一つの企業の事務所の出入りをチェックするような感覚で駅にカメラをつけようとしている」と国土交通省側の人権感覚の欠如を批判し、記者会見にかけつけた社民党の保坂展人衆院議員から「どういう根拠でこの実験を行うのか。取得された映像はどうなるのか。衆議院法務委員会で追及したい」と発言があった。
伊藤成彦さんは「テロ対策の名前で実験が行われるが、イラクから自衛隊を撤退させるとかテロを受けない政策を考えるべきだ」、北野弘久さんは「今回の実験を既成事実として、顔認証システムが鉄道会社に簡単に導入されてしまうのは恐ろしいことだ」、渡辺千古・永見寿実両弁護士は、今回の実験は民間の地下鉄のカメラだから法的に問題ないという国交省側の主張は、「何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有する」とした最高裁判決に照らしてもおかしい、と訴えた。
その後、活発な質疑応答が行われた。最後に、田島さんが「国民の権利(肖像権)を侵害する重大な憲法違反が一省庁の判断で勝手に進められている。実験の中止をあくまでも要求していく」と決意を述べた。
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申入書
2006年1月27日
国土交通大臣
殿
監視社会を拒否する会
共同代表
伊藤成彦 北野弘久 田島泰彦
福島
至
村井敏邦
連絡先:東京都中野区本町6 -22-16-805
tel 03-5328-0656
fax 03-5328-0657
貴省が財団法人・運輸政策研究機構とともに実施を計画している地下鉄霞ヶ関駅での「顔認証システム」の実証実験について、昨年11月15日に11名の研究者連名の「実験中止を求める」申し入れをおこないましたが、いまだに何の返答もいただいておりません。あらためて、以下の点につき、御返答をいただきたいと存じます。
記
1.わが国においては、日本国憲法第13条にもとづく権利として、「何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有する」ことが認められ、公権力による無断撮影は正当な理由なしには認められていません。例外的に公権力による写真撮影が許容されるのは、「現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合であつて、しかも証拠保全の必要性および緊急性があり、かつその撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもつて行なわれるときである」と厳格に判断されております(1969年12月24日最高裁判決)。
しかるに、貴省らが計画している地下鉄霞ヶ関駅での「顔認証システム」の実証実験は、正当な理由なく、改札口を通過する全ての人の顔に照準をあて、無断で撮影・記録するものであって、上の最高裁判決が示す国民の権利(肖像権)を乱暴に侵害する憲法違反行為であります。
2.しかも、当該霞ヶ関駅は、付近省庁に通勤する職員、各省庁に赴く市民だけでなく、東京地裁・高裁に出入りする市民、弁護士会館に出入りする市民、日比谷公会堂および野外音楽堂で開催される集会等への参加者など思想・信条の自由をはじめその人権に格別配慮すべき人々が利用する駅でもあります。こうした霞ヶ関駅の利用客の顔を、「実験」の名において、数ヶ月にわたって撮影・記録することは人権蹂躙も甚だしいと言わざるをえません。
3.貴省は、この「顔認証システム」の実証実験を、昨年7月7日に発生したロンドンでの地下鉄爆破事件を奇貨とし「テロ対策」の名目で行おうとするようですが、ロンドン市内50万台もの監視カメラ設置にもかかわらず事件が起きたこと、事件直後にブラジル人男性が犯人と誤認され警察に射殺される事件が発生したことなどを直視すれば、「顔認証システム」が、「テロ対策」として有効性を持ちえないことは歴然としています。いわゆるテロをなくすためには、何よりも、それが発生する真の社会的背景や原因を改善、解消するよう努めることこそが先決であると考えるものです。
4.以上の理由で、地下鉄霞ヶ関駅で予定されている「顔認証システム」の実証実験を中止すべきことを、ここに強く申し入れ
るものです。
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