
|
毒蝮: 全国の介護家族の皆さん、ご機嫌いかがですか。
小谷: めざせ介護の達人。きょうもお得な情報満載でお送りいたします。 |
 |
中村春基さん |
ゲスト:
日本作業療法士協会副会長
中村春基さん
|

|
日本全国介護自慢 |
はつらつ!中学生ヘルパー(茨城県美野里町)
3級ヘルパーの資格取得を目指し、勉強をしている中学生を紹介します。 |
|
|
|

|
3級ヘルパーとは
|
 |
身体介護と家事援助が可能
|
|
|
|
資格取得の条件 |
 |
厚生労働省が定めた50時間の講習を受ける
(座学25時間、実技17時間、現場実習8時間)
※年齢制限なし
|
|
|
|

|
中村: 「福祉の体験学習」ということで、中学生が半日くらいのお手伝いに行くというのはよくありますが、ここまで本格的にやっているのは初めて聞きました。
|

|
茨城県にある美野里中学校。この日は冬休みでしたが、1年生34人が一生懸命勉強をしていました。その内容は、総合学習の時間を利用した3級ヘルパーの養成講座。資格取得のため、休日返上での授業です。
|
この日の講師は、地元の病院の医師、新澤岳さん。内容は、「床ずれからできる褥瘡(じょくそう)について」です。少し刺激が強いかもしれませんが、介護の現実をきっちり学んでもらいます。
|

熱心にメモを取っている井坂亜依さんは、おばあさんと両親の3世代で暮らしています。
家におばあちゃんがいて、ちょっと不自由なので、介護をしてあげたいなと思って入りました。(井坂亜依さん)
|
サッカー部で活躍する小原祐介君がこの講座を選んだ理由は、なかなか現実的なものでした。
親に「高校(入試)の時にいいよ」と言われたので、やってみました。(小原祐介君)
|

|
この日、小原君と井坂さんは初めての訪問介護実習に出かけました。生徒2人に現役のヘルパーさん1人でワンチーム。家に入る前、早速ヘルパーさんからアドバイスです。
きょうは「何が一番?」と言ったら、「いっぱいしゃべれたよ。コミュニケーションいっぱいとってきたよ」っておうちで話せるように、いっぱい言葉をかけてください。(ヘルパー 矢口久美子さん)
|

まず訪ねたのは、一人暮らしの吉澤才次郎さん(94)のお宅です。脳こうそくの後遺症で左半身にマヒがあり、週5日、ヘルパーさんに家事を手伝ってもらっています。 |
井坂: 井坂亜依です。よろしくお願いします。
才次郎: はい?
矢口: もう一回。ゆっくり。
井坂: 「い・さ・か・あ・い」です。
才次郎: ああ、井坂さん。 |

|
今回の実習は、家事援助。掃除、洗濯、食事作りなど、才次郎さんの身の回りの世話をします。
まずはベッドメイキングから。掛け布団の準備ひとつとっても、お年寄りによって希望が違います。介護は相手を思いやる気持が大切です。
矢口: 才次郎さんは片マヒなので、ベッドに入りやすいよう、半分開いておきます。吉澤さんはこうして上げてもらうのが一番なんだって。
|

食事は冷蔵庫に買い置きしてある食材を使って作ります。普段から血圧が高めの才次郎さん。塩分控えめで、いかにおいしく作るかがヘルパーの腕の見せ所です。この日のメニューはねぎの酢みそ和えに決まりました。 |
酢と砂糖で味を調え、みそは控えめ。担当するのは料理作りを楽しみにしていた井坂さんです。
井坂: 酢と砂糖だけはあるけれど、こういうみそ味は初めてです。 |
  |

|
家事が終わり、ここからは課題のコミュニケーション。才次郎さんと会話を楽しみます。しかし、これが小原君にとって難関でした。長年木材の組合で仕事をしてきた才次郎さん。地元のことは何でも知っています。
才次郎: 聞きたいことあったら先輩に聞いてください。かまわないよ。何でもいいから聞いて。
|
才次郎さんが気を使ってくれますが、小原君は何を聞いていいのか分かりません。なかなかコミュニケーションが取れないまま、時間が過ぎてしまいました。
|

気を取り直しての2軒目。今度はお話が大好きなおばあちゃん、海宝君さん(83)のお宅です。戦争中の記憶を語る君さん。疎開先で知り合ったご主人と結婚、4人の子どもを育て上げました。ご主人が亡くなった後、一人暮らしの次男を頼ってここ美野里町にやってきました。
君: アメリカが攻めてこられたらたいへんだから、やりね。やりって分かるか。刀より長えからな。 |

君さんの話に圧倒されてた小原君、ここでもなかなか言葉が出ません。そこでヘルパーの矢口さんが救いの手を差し伸べました。
矢口: 祐介ちゃんに、少し肩をもませてもらってもいいですか。
君: 大丈夫かい? 軽くだぞ。若い力でやられたら、おっぱげちゃうから。軽くていいんだぞ。楽になるんだよ。ありがとね。 |

高校入試に役立つからと参加した3級ヘルパー養成講座。おばあさんたちと接する中で、小原君の心に変化が現れてきました。
自分が少ししゃべった時に笑ってくれると、ちょっとうれしい。今まではお年寄りがいても、見て見ぬふりという感じだったけど、実習を受けているうちに、お年寄りを見かけたら助けてあげようかなという気持が出てきた。(小原君)
|

|
いまや美野里町の名物となった中学生のための3級ヘルパー養成講座。企画したのは、町の社会福祉協議会介護支援専門員の石川美恵子さんです。
|
石川さんは、11年前から介護を必要とする地元の家々を回り、そのケアを請け負ってきました。年々高齢化率が上がり、介護を必要とするお年寄りが増えていることを肌身で感じていた中、石川さんは驚くべき事実に直面したのです。
|
平成6年、各県がどれだけ在宅介護サービスを利用しているかを表したグラフを見ると、茨城県は全国で45位、下から3番目でした。介護を必要としている人は多いのに、デイケアや訪問ヘルパーといった介護サービスを利用している人は少ないのです。
|
特に美野里町は農村部ですから、「介護は嫁がするもの」という意識がけっこう強くあると思います。あとは「うちの中を見られたくない」「見せたくない」。お嫁さんが孤立し、一人で苦しんでいるというのを現場で目の当たりにしていました。(介護支援専門員 石川美恵子さん)
|

|
お嫁さんの介護負担を軽くしたいと、石川さんが目をつけたのは子どもたちの存在でした。そこで、「中学生のための3級ヘルパー養成講座」を企画。資格が取れるということで、子どもたちがやる気になると考えたのです。
|
総合学習の時間を利用することで、中学校の了承は得ました。課題は誰が教えるか。一定の資格がないと講師を務めることはできません。そこで石川さんは、社会福祉協議会で働く仲間のヘルパーさんたちに声をかけました。「教えるなんて自信がない」と心配する同僚に、持ち前の押しの強さで協力を取り付けました。
|
逆に、「あなたたちしかできない」って言ったんです。「思いやりを育てる、優しい心を子どもたちに植え付ける、そういうのは現場のあなたたちしかできないこと。今、やっていることをそのまま子どもたちに伝えてくれれば、それでOKだ」という話をして背中を押したんです。(石川さん)
|

|
平成14年12月。ついに全国初となる中学生のための3級ヘルパー養成講座が始まりました。生徒の応募は定員40人に対して57人。中学生を介護の世界に引き込もうという石川さんの狙いは、見事成功でした。
|
訪問介護の実習を終えて、井坂さんが家に帰ってきました。早速習ってきた塩分少なめ、特性のねぎの酢みそ和えをおばあちゃんのために作り始めます。
|
井坂さんは、養成講座に出るようになってから、以前に増しておばあちゃんと接するようになりました。ちょっとした変化ですが、両親にとっては大助かりです。
うちは共稼ぎなもので、土曜日われわれ2人で仕事行っている時は、おばあちゃんの面倒を娘がよく見てくれるので、助かっています。(父 年男さん)
|

|
おばあちゃんのろくさん(92)は、3年前、脳出血で倒れ、一日のほとんどをこの部屋で過ごしています。初めて作ったねぎの酢みそ和え。おいしく食べてくれるかな。
|
井坂: これね、私が作ったの。どう?
ろく: かたい!

ちょっとゆでる時間が短かったようです。でも、おばあちゃんは全部残さず食べてくれました。
|
3級ヘルパーの資格が取れるまで、あと少し。井坂さんはおばあちゃんの笑顔が見られるよう、ますます頑張りたいと思っています。
|

|
小谷: VTRの中に出てきた、亜依ちゃんと小原君、そして中学1年生のみんな。今年1月に見事3級ヘルパーの資格を取得したということです。おめでとう。
毒蝮: やったね! 子どもたちにはお年寄りのことが分かって、お年よりは子どものことが分かって、いいじゃないですか。
小谷: 最初は小原君のように資格が目的で始める中学生も多いのですが、お年寄りと接する中で、だんだん思いやりの心、いたわりの気持が育ってきているそうです。
|
中村: 大成功ですね。子どもたちにとって、介護が身近に感じられる。お年寄りにとって、元気がもらえる。ヘルパーにとって、技術が確認できる。いいことだらけです。
|
毒蝮: お年寄りが子どもたちと何か話そうと、昔のことを思い出したり、楽しく話そうと、勉強したり。ある意味、これはボケ防止にもなるんじゃない?
|
小谷: そうですね。そして、中学生の皆さんはヘルパーの資格を取って終わりではなく、その後もボランティアとして地域のお年寄りのお宅を訪ねるなどの活動を続けているそうです。そして、この「中学生3級ヘルパー」の動きは全国的に広がってきているということです。美野里中学のみんな、これからも頑張ってください。 |

|
うちのアイデア介護 |
雪道からお年寄りを守る!
北海道アイディアランド協議会
|
|
|
|
札幌市にある北海道アイディアランド協議会は、生活に役立つさまざまな知恵を作品にしているグループです。メンバーは引退した大工さん、電気工事の技師、学校の先生など。今、雪道を安全に歩くための画期的な介護用品の試作に取り組んでいます。材料は使われなくなったベビーカー、廃品のスキー板など。いったいどんな介護用品が誕生するのでしょうか。
|
北海道アイディアランド協議会の皆さん: 毒蝮さん、これ、私どものアイデア介護用品です。
|

|
一見、ただの手押し車に見えますが、この車はレバー一本でスキー板を出し入れすることができるのです。スキー板を下ろせば車輪が持ち上がり、雪道でも楽に押すことができます。雪がある道でもない道でも、レバー一本でどちらでも使えるという優れものです。
|
北海道では半分は雪の上ですから、足の不自由な方にも安心して歩いていただこうと。(会長 谷口喜好さん)
|
雪のない道では、車輪を使い、手押し車として使用。
|
そして雪道に入る時には、雪道仕様。今度はスキー板がスイスイ雪道を滑ります。
|
車輪が雪に埋もれる心配がなく、安定性も抜群。お年寄りも大満足。
|
|
|
|
軽いから割とスムーズにいきます。いい感じです。(お年寄り)
|
スキー付の手押し車。雪国ならではの逸品です。
|

|
中村: 雪国ならではのアイデアですね。たぶん皆さん、雪が多い時は外に出られないと思のですが、これを使えば外に出られますね。
|
毒蝮: だけどさ、作っているおとっちゃんたちもみんないい年だろう。それが子どもみたいに一生懸命作ってさ。さっきは子どもが大人を元気付けてくれた。今度は年寄りが年寄りを元気付けて、ケガから守ろうとしている。すばらしいじゃないですか。
|

そのほかにも… |
防災用ベッド
(北海道アイディアランド協議会作)
|
上がアーチ状になっており、地震などで上から物が落ちてきても大丈夫という防災用のベッド。実際に家を壊す現場で実験し、かなりの重さに耐えられるということを証明している。
|
|
|
|
中村: 「転ばぬ先のつえ」ではありませんが、いいアイデアですのでぜひ実用化してほしいですね。
小谷: 北海道アイディアランド協議会の皆さんは品質にもこだわっていて、先ほどのスキーの手押し車も、木製の部分が壊れやすいからと、金属のものに変える準備をしているということです。お年寄りが使うものですから、安全性も考えて作っているとおっしゃっていました。 |