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興南(沖縄)vs東海大相模(神奈川)

2010年08月22日10時00分 / 提供:高校野球情報.com

2010年08月21日 阪神甲子園球場

興南(沖縄)vs東海大相模(神奈川)

2010年夏の大会 第92回甲子園 決勝

史上6校目春夏連覇!!沖縄県勢初優勝!!

第92回選手権大会総括

 レベルの低い大会――。

 残念ながら、そう思わざるをえない大会だった。理由は、走らないから。打ち損なった時点であきらめ、凡打と決めつけて走らない。反対に、安打と決めつけてふくらんで走り、ファインプレーをされてアウトにされるケースも目立った。最後まであきらめない、自分で判断しない、勝手に決めつけないのは基本中の基本。全力疾走の意識が欠如している。

 今大会では、まるでプロ野球選手のように凡打で一塁までダラダラと走る選手が目立った。一塁ベースまで到達せずにベンチへ戻る“不走”も多かった。選手たちには酷かもしれないが、代表にふさわしくないプレーをした代償として走らない選手リストを挙げておく。

 

【不走】名前高校試合対戦カード山口 元気北大津1回戦vs 常葉橘(静岡)眞榮平 大輝興南1回戦vs 鳴門(徳島)岡部 直人いなべ総合1回戦vs 福井商(福井)白井 慶一関東一2回戦vs 遊学館(石川)峰下 智弘佐賀学園2回戦vs 長崎日大(長崎)木村 謙吾仙台育英2回戦vs 延岡学園(宮崎)小野田 俊介早稲田実3回戦vs 関東一(東東京)土屋 遼太早稲田実3回戦vs 関東一(東東京)北村 剛輝佐賀学園3回戦vs 報徳学園(兵庫)山口 将太佐賀学園3回戦vs 報徳学園(兵庫)漆原 大夢新潟明訓準々決勝vs 報徳学園(兵庫)我如古 盛次興南準々決勝vs 聖光学院(福島)

【ワースト10】順位名前高校到達秒数1位木村 謙吾仙台育英6秒722位出射 徹開星6秒633位中川 諒成田6秒224位板倉 皓太聖光学院5秒715位坂元悠貴延岡学園5秒656位木村祐司成田5秒607位柿田裕太松本工5秒588位深沢恒太早稲田実5秒579位白根尚貴開星5秒5510位勝田優斗成田5秒50

 一塁ベースまで走らないなど言語道断。ここに優勝した興南の選手が2人いるのが残念だ。今大会で二塁から本塁までの最速を記録した九州学院・山下翼のタイムは6秒55。木村、出射は山下が二塁から還ってくるよりも遅く一塁に到達している。歩いているのと同じレベルだ。この他、大会中に1人で5秒台を3度記録したのが、木村(仙台育英)、中川(成田)、染谷雄太郎(東海大相模)。1試合で2度記録したのが木村(仙台育英)、深沢(早稲田実)、安田権守(早稲田実)、高尾宗一郎(長崎日大)、原力斗(前橋商)、染谷(東海大相模)。猛暑のため、投手には同情すべき点はあるが、今大会最も球数を投げた島袋がこのリストに入っていないだけに言い訳はできない。染谷は決勝戦だというのに走らなかったが、準決勝後に「明日は全国の高校球児にこれが決勝というのを披露したい」と言いながら、まったくバックアップに行かなかったエースの一二三慎太とともに、あきれさせられた。

 チームとしては、不走リストに3人も名前を連ねる佐賀学園、ワースト10に3人入っている成田の他に、不走2人を含む4秒75以上が4人の早稲田実、6人の松本工、4人のいなべ総合などが目立った。松本工、いなべ総合は初出場。初めての晴れ舞台でこのような姿勢では、二度目はないだろう。

 昨年、投手ながら最後まで全力疾走を続けた菊池雄星(花巻東―西武)は常々こう言っていた。「100人部員がいる中で、18人しかベンチに入れません。全力疾走すらできない、(グランドで)声を出すことすらできない選手がたくさんいます。そう考えると、できる権利があるのに放棄する選手は納得がいかない。走ることすらできない選手に申し訳ないです」

 自分の代わりに出られない選手がいる。出られないチームがある。試合に出ている以上、彼らの代表として走る義務がある。しかも、舞台はあこがれてきた甲子園なのだ。全力で走ることのできる権利、セーフになる可能性を自ら放棄することはありえない。ここでプレーするために練習してきたのだから。全力でやりきること、最後までやり続けることが大事。それが必ず結果となって表れるときがくる。甲子園の土を踏めるのは全国でたった882人。その幸せを忘れて全力プレーができないような選手に、野球の神様はふりむかない。残念ながら、意識の低い選手が多かったところに、今大会のレベルが表れていた。

 もちろん、そんな中でも一生懸命走っていた選手たちはいる。一塁駆け抜けのベスト10は以下の通りだ。

【ベスト10】順位名前高校到達秒数1位佐藤貴規仙台育英3秒901位加藤秀和土岐商業3秒901位浜田晃成延岡学園3秒904位山下 翼九州学院3秒925位長谷場隆報徳学園3秒936位山下 翼九州学院3秒957位長谷場隆報徳学園3秒968位田尻裕紀本庄第一3秒978位渋沢麻衣弥関東一3秒978位後藤駿太前橋商業3秒97

最後の一歩まで走り抜けた彼らの姿に拍手を送りたい。

 全力でやるからこそ何かが起きる。観客を感動させることもできる。その意味で、今大会、印象に残った3人の選手を紹介したい。 一人目は聖光学院の背番号17・中村将太。履正社戦の6回1死一塁、伝令がマウンドに行くと、中村はブルペンへと走った。投球練習をしていた芳賀智哉に何事か伝えに行ったのかと思いきや、そうではなかった。「あのときは浜風が強く吹いていたのに、ライトが定位置にいたんです。風で前に落とされるのが嫌だった。ベンチから叫んでいたんですけど、聞こえなかったので近くまで行って伝えました」 ベンチから飛び出したのは自分の判断。それも理由があってのことだった。「甲子園は(ベンチから出ると)注意されるじゃないですか。だから、ブルペンに行く感じにしたんです」 大きな声、ジェスチャーでも指示が伝わらない。かといってベンチから出るわけにもいかない。考えた結果の行動だった。4年連続出場の常連校らしい好判断。中村の指示の後、ライトに打球は飛ばなかったが、素晴らしい気づき力だった。

 二人目は天理のライト・井上昇亮。チームとしては、ほぼカバーリングの意識がない天理だが、井上だけはバックアップをくりかえしていた。レフト前安打でレフトが二塁に返球する際にも、レフトとセカンドの延長戦上に入る。ファーストのすぐ後ろまで来ていたこともあった。「2年生の秋にレフトを守っていたとき、ライト前ヒットの後のセカンドへの返球がそれたことがあったんです。そのときはカバーに行っていなくて、バッターランナーを二塁まで行かせてしまった。それ以来、どんな打球でも進ませないためにやっています」 センバツでは背番号16だった井上。背番号9で戻ってきた甲子園で1打数1安打1四球2犠打の活躍ができたのは、こういう小さなことを積み重ねてきたからに他ならない。「試合に出させていただくことがありがたいんです。だから、たとえ打てなくても、ミスをしてもひたむきにやっていこうと思っていました」 奈良大会ではライトの守備位置に落ちている枯葉などを拾っていたという井上。他人がやらないから自分もやらなくていいということはない。周りに流されず、やるべきことをしっかりやることが大事。野球の神様は、どんな小さなことでも見ていてくれている。

 そして、三人目は関東一の宮下明大。3回戦の早稲田実戦のこと。8回無死一塁で捕手へのファールフライに終わるが、アウトになり、ベンチに戻る前に捕手のマスクを拾い、そっと手渡したのだ。打席途中にはしばしば見かける光景だが、アウトになった後に拾うのは珍しい。しかも、この日の宮下は死球が2つ。内角をたびたび要求する捕手に怒りを覚えてもおかしくない状況だった。「いがみ合ってもしかたがないじゃないですか。相手だからって、冷たい態度をとることはないです。死球で怒り? 全然ないです」 四番に座り、1、2回戦で2試合連続本塁打を放った宮下。打力はもちろん、態度や行動も主砲にふさわしいものだった。

 ちょっとした行動、ちょっとした気遣いが見えるだけでも心が動かされるのが人間。それがスタンドからわかれば、見ていて幸せな気持ちになれる。野球だけうまければいいのではない。野球がうまくて、人としても気づける人間――。そんな球児が増えれば、必ず野球のプレーや内容も変わってくるはず。来年は、一人でも多くの“気づける”高校球児に出会えることを期待しています。

(文=田尻 賢誉)


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