葬儀場訴訟:「出棺、受忍限度超えない」 近隣男性敗訴

2010年6月29日 12時3分 更新:6月29日 20時22分

 京都府宇治市の葬儀場の近隣男性(53)が「家の2階から出棺の様子が見え、精神の平穏を害されている」として目隠しフェンスを高くすることなどを求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(堀籠幸男裁判長)は29日、フェンスを1.2メートル高くするよう命じた1、2審判決を破棄し、男性の請求を棄却した。判決は「社会生活上の受忍限度を超えていない」と判断した。男性の逆転敗訴が確定した。

 小法廷は▽出棺の様子が見える場所は原告宅の2階に限られる▽葬儀の実施は月20回程度▽ひつぎの搬入と出棺は速やかに短時間で行われている--ことなどを挙げ、「原告が強いストレスを感じているとしても、平穏に日常生活を送る利益を侵害しているとまでは言えない」と述べた。

 1、2審判決によると、男性は94年に自宅を新築、05年に道を挟んだ東側に葬儀場がオープンした。男性は「出棺の様子が見えてしまうので、2階の窓とカーテンを閉め切るなど日常生活に相当の影響を受けている」と主張。葬儀会社側は「葬儀場は高度な公共性がある。フェンスを高くするには、費用がかかるうえ、威圧感が増す」と反論していた。【伊藤一郎】

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