株主総会:1000社超で一斉に 高額報酬に厳しい視線

2010年6月29日 11時2分 更新:6月29日 12時26分

日立製作所の株主総会会場へ向かう株主ら=東京都中野区の中野サンプラザで2010年6月29日午前9時45分、伊藤絵理子撮影
日立製作所の株主総会会場へ向かう株主ら=東京都中野区の中野サンプラザで2010年6月29日午前9時45分、伊藤絵理子撮影

 3月期決算企業の株主総会が29日にピークを迎えた。警察庁によると、非上場企業も含めて全国で1087社が一斉に開催。東京証券取引所の上場企業では、日立製作所や三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、スズキなど約4割(約740社)の総会がこの日に集中した。リーマン・ショックの“後遺症”で「モノ言う株主」の代表格だった外資系投資ファンドの存在感が薄まる一方、今年から1億円以上の報酬を受けた役員の氏名や金額を開示する制度が導入され、個人株主らは経営者に対して厳しい視線を向けた。

 この日東京都内で株主総会を開いた日立製作所は、中西宏明社長が10年3月期に上場以来、初めて無配に転落したことを「深くおわびする」と陳謝。日立は川村隆会長の役員報酬が1億3400万円であることを公表した。出席した千葉県の男性株主(64)は「配当が無配で、なんでそんな高い役員報酬がもらえるのか」と不満を示した。一方、三菱UFJFGは総会での株主からの質問を受けて、永易克典社長ら首脳陣3人の報酬が約1億1000万円であることを明らかにした。

 警察庁によると、総会の分散化を主因に、集中日の企業数は97年(2351社)をピークに年々減少。大和総研によると、金融危機の影響による外資系投資ファンドの活動縮小を背景に、総会での企業側に対する株主提案の議案数も今年は二十数件と、ピークの07年(32件)から大きく減る見通しだ。

 一方、今年から有価証券報告書で1億円以上の役員報酬の開示が義務づけられた。日産自動車のカルロス・ゴーン社長が8億9000万円の報酬を得ていたことが明らかになるなど、外国人経営者を中心に高額報酬も目立ち、総会では個人株主が根拠を問う場面も目立つ。【大久保渉、伊藤絵理子、弘田恭子】

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