2010年6月28日 21時30分 更新:6月29日 9時21分
毎日新聞が27、28日実施した全国世論調査では、参院選(7月11日投開票)後に民主党がどの政党と連立を組むのが望ましいと思うかを質問した。「民主党の単独政権」との回答が30%で最も多く、次いで「みんなの党との連立」が12%で「自民党との大連立」の11%をわずかに上回った。選挙戦では与党が過半数を維持できるかが焦点となっており、民主党の枝野幸男幹事長がみんなの党に秋波を送るなど、与党が過半数割れした場合の「連立組み替え」を意識した与野党の駆け引きも激しくなってきた。
連立組み替えを示唆する発言は27、28日、民主党から相次いだ。菅直人首相が訪問先のカナダ・トロントで記者団に「(過半数割れした場合は)他党ともいろんな形で話し合いをすることが必要になる」と語ったのに続き、枝野氏がBS11の番組収録で「行政刷新ではみんなの党、財政健全化ではたちあがれ日本、労働では社民党と考えは近い」と述べた。
枝野氏はさらに記者団の前でみんなの党を名指しし「政策的な判断として一緒にやってもらえると思う」とまで踏み込んだ。仙谷由人官房長官も記者会見で「選挙を抜きにして、みんなの党とは公務員制度改革や行政改革で共通する部分が少なくない。一緒に取り組めるという感覚を枝野幹事長が持つのは無理からぬところ」と同調してみせた。
これに対しみんなの党の渡辺喜美代表は28日、水戸市の街頭演説で「バカも休み休み言え。みんなの党と組みたいなら、まず官公労と手を切ってから顔を洗って出直せ」と強く反発。「みんなの党の票引っぱがし作戦。悪質な選挙妨害だ」と記者団に怒りをぶちまけた。民主党批判を強めることで「反民主」票の取り込みを図るのが野党側の基本戦術。公明党の山口那津男代表も「迷惑な話だ。あらゆるところに声をかけて、政権の構図までバラマキを始めた。節操がない」と批判した。
ただ、世論調査では「与党が過半数を維持した方がいい」との回答が52%を占め「過半数を割った方がいい」の40%を上回った。政治の安定を望む声も少なくない。民主党支持層では43%が単独政権を望む一方、16%がみんなの党との連立と回答し、現在の国民新党との連立維持は14%にとどまった。みんなの党支持層では51%が同党と民主党の連立が望ましいと回答。「民・みん」連立への期待は双方の支持層にある。
与党を過半数割れに追い込み「第三極」としてキャスチングボートを握るシナリオを描いてきたのがみんなの党などの新党勢力だ。新党改革の舛添要一代表は民主党との連携について「選挙が終わってからの話だ」と含みを残した。【野原大輔、影山哲也、鈴木敬子】
◇全国世論調査の質問と回答◇
◆菅内閣を支持しますか。
全体 前回 男性 女性
支持する 52(66)56 49
支持しない 28(18)28 29
関心がない 19(15)15 21
◆<「支持する」と答えた方に>支持する理由は何ですか。
民主党の首相だから9(10)8 10
指導力に期待できる19(21)17 21
政策に期待できる 9(10)10 8
政治のあり方が変わりそうだから
62(58)63 61
◆<「支持しない」と答えた方に>支持しない理由は何ですか。
民主党の首相だから10(12)18 4
指導力に期待できない
7(12)4 9
政策に期待できない46(21)41 50
政治のあり方が変わりそうにない
36(54)35 37
◆どの政党を支持していますか。
民主党 33(34)38 28
自民党 13(13)13 13
公明党 5(4)3 6
共産党 3(2)4 2
社民党 2(3)1 2
国民新党 0(0)1 0
みんなの党 5(5)6 5
新党改革 1(0)1 1
たちあがれ日本 1(1)1 1
新党日本 0(0)- 0
その他の政党 1(0)0 1
支持政党はない 34(36)31 37
◆菅首相は消費税を引き上げる税制改革案を今年度中にまとめ、次の衆院選後に引き上げる方針を表明しました。消費税の引き上げに賛成ですか、反対ですか。
賛成 47(52)55 42
反対 50(44)43 55
◆自民党は消費税率を現在の5%から10%に引き上げる方針を参院選の選挙公約に盛り込み、菅首相も10%への引き上げを検討する考えを示しています。消費税率10%についてどう思いますか。
妥当だ 41 47 36
もっと低い税率にすべきだ
52 43 58
もっと高い税率にすべきだ
4 7 3
◆参院選の投票先を決めるにあたって消費税の引き上げ問題を、投票の判断材料にしますか、しませんか。
判断材料にする 41 40 43
判断材料にしない 55 58 53
◆参院選の比例代表でどの政党、あるいはどの政党の候補者に投票しますか。
民主党 40(41)44 38
自民党 17(14)18 16
公明党 6(5)4 7
共産党 4(3)4 4
国民新党 1(0)1 1
新党改革 1(0)1 1
社民党 3(3)1 3
たちあがれ日本 1(1)1 1
みんなの党 9(8)10 9
女性党 1 0 1
幸福実現党 0 - 0
日本創新党 0 - 0
◆参院選で、民主党と国民新党の与党が過半数を維持した方がいいと思いますか、思いませんか。
過半数を維持した方がいい
52 55 51
過半数を割った方がいい
40 41 40
◆民主党は衆院で半数を大きく超える議席を持っていますが、参院選の結果次第で連立政権の枠組みが変わる可能性があります。参院選後、民主党がどの政党と連立を組むのが望ましいと思いますか。
民主党の単独政権 30(33)34 27
国民新党との連立 9(13)8 9
自民党との大連立 11(13)11 10
公明党との連立 3(3)3 3
みんなの党との連立12(12)14 11
その他 30(20)25 33
◆大関・琴光喜関ら大相撲の力士多数が、野球賭博にかかわっていたことが明らかになりました。日本相撲協会は、関与した力士に対する調査結果を待って、来月11日からの名古屋場所を開催するかどうかを判断する考えです。名古屋場所を開催すべきだと思いますか、思いませんか。
開催すべきだ 33 36 31
中止すべきだ 61 59 63
◆野球賭博にかかわった力士の処分は、どうすべきだと思いますか。
全員の力士をやめさせるべきだ
18 18 18
悪質な力士だけ、やめさせるべきだ
39 35 42
処分は必要だが、やめさせる必要はない
36 41 33
処分の必要はない 1 2 1
(注)数字は%、小数点以下を四捨五入。0は0.5%未満、-は回答なし。無回答は省略。カッコ内の数字は前回6月8、9日の調査結果。前回は、首相表明前に消費税引き上げの賛否を聞いており、参院選の投票先に「新党日本0%」「その他の政党14%」があった。参院選後の望ましい連立先で「国民新党との連立」の前回の数字は「社民党、国民新党との連立」。
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調査の方法 27、28日の2日間、コンピューターで無作為に選んだ電話番号を使うRDS法で調査。有権者のいる1677世帯から、1089人の回答を得た。回答率は65%。