メキシコ湾の原油流出事故で、原油の成分が高濃度に含まれたプルームと呼ばれる層が海中深く、長さ35キロ以上にわたって形成されたことが、米ウッズホール海洋学研究所の調査で分かった。米科学誌サイエンス(電子版)で発表した。
深海や海底の生態系に長期間にわたって悪影響が及ぶ恐れがあることを示す内容。米政府は原油の4分の3が蒸発や分解によって除去されたと発表したことから、事故の影響を楽観するムードが広がっているが、見方が変わる可能性もある。
研究チームは6月19日から28日にかけて、無人潜水艇に搭載した分析装置を使って事故現場周辺の海水を調査。この結果、原油の成分である炭化水素を含むプルームが水深1100メートル付近を西南西に向かって35キロ以上も延びていることを確認した。プルームは厚さ200メートル、幅2キロに達した。中でも特に毒性が強いベンゼンやトルエン、キシレンが通常の原油に比べて高濃度で含まれているという。
酸素濃度の違いからプルーム内の原油成分は海面付近に比べて細菌による分解が遅いとみられ、チームは炭化水素は長く残留する可能性があると指摘している。(共同)
毎日新聞 2010年8月21日 11時01分