2010年6月27日 22時35分 更新:6月28日 1時0分
名古屋場所開催に当たり、調査委が相撲協会に課した条件は厳しいものだった。大関・琴光喜関を含む幕内8人、十両5人(いずれも夏場所番付時点)に休場を求めただけではない。理事長代行を置いて場所を乗り切れと、協会を突き放した。簡単に代行できるはずもない協会トップがここまで軽く扱われたことは屈辱に違いない。
そして、ポイントは親方衆にも容赦しなかったことだ。武蔵川理事長を含む十数人の親方に「名古屋へ行くな」と命じた。全51部屋の師匠の4分の1超。相撲界では「師匠がいなければ相撲は取れない」と言われるほどの絶対的存在もバッサリと切った。
まだある。約1000人の全協会員を対象とした賭博調査を行い、「名古屋場所初日の前に白黒をはっきりさせる」(望月浩一郎委員=弁護士)という。逃げ得は許さないという調査委の強権発動だが、これにしても、名古屋場所を開くための暫定措置であり、自浄能力を失った相撲協会への監視は場所後も続くとみられる。
この日の会見で、調査委の伊藤滋座長(早大特命教授)は、9月の秋場所までに外部の改革委員会を発足させることを明言。年寄名跡や相撲部屋など相撲界の伝統的制度にもメスを入れる方針を打ち出した。
伊藤座長が25日に「クビだ」とまで言った琴光喜関についての処分は、「解雇以上が妥当」とした大嶽親方と異なり判断は協会に委ねられた。横綱・大関で過去に解雇された例はない。協会が調査委の勧告をどう受け止めるのか。ファンは見守っている。【大矢伸一】