2010年6月26日 15時0分
【トロント坂井隆之】26日からカナダ・トロントで開かれる主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の共同声明で、昨年のイタリア・ラクイラサミットでG8と新興5カ国が合意した「世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)を10年末までに最終合意する」との表現を盛り込まない方向で最終調整していることが25日、分かった。農業分野の開放を中心に主要国間の対立を解くメドが立たず、10年中の合意を断念する。
ドーハ・ラウンドを巡っては、農業分野と鉱工業品、サービス分野を巡る先進国と新興国間の調整が難航。自由化が進めば中国製品の流入を招き、自国産業が打撃を受けるとして、新興国間の利害も対立している。
今回のG20でも、中国など新興国がドーハ・ラウンドについて議論すること自体に難色を示している。さらに、米欧も欧州の金融不安への対処や金融規制についての議論を優先する姿勢のため、年内の決着に向けての前進は困難と判断。声明では「できるだけ早期の妥結を目指す」などの表現にとどめ、期限を区切らずに交渉を進めることにした。過去に決裂と再開を繰り返してきた貿易交渉は議論の再構築を迫られる。