2010年6月25日 10時37分
【トロント草野和彦】オバマ米大統領は24日、ホワイトハウスでロシアのメドベージェフ大統領と会談した。両首脳は、ロシアの世界貿易機関(WTO)加盟に必要な同国内の法整備などを9月末までに目指すことを確認。オバマ大統領は会談後の記者会見で、「ロシアのWTO加盟は、米露だけでなく、世界経済にとっても利益になる」と述べ、交渉の加速と米国の全面的な協力を確約した。
両者による7回目となる首脳会談について、オバマ大統領は「米露関係の単なるリセットではなく、拡大するもの」と指摘。核軍縮や安全保障だけでなく、両国が経済面でも関係を強化する新たな段階に入ったことを強調した。ロシアはエネルギー資源に依存する経済構造からの脱却、米国はロシアの経済近代化を支援することに伴う米国内の雇用創出の狙いがある。
メドベージェフ大統領は、モスクワ郊外で建設計画中の「ロシア版シリコンバレー」に「米国側の積極的な参加を期待する」と投資を呼びかけた。一方、オバマ大統領は、米ボーイング社がロシア側に航空機50機を売却する40億ドル(約3600億円)の商談が進行中だとして、「米国内の4万4000人の雇用創出につながる」と歓迎した。
両首脳は、ロシアが食品安全上の問題があるとして08年に禁輸した米国産鶏肉の輸入再開でも合意した。
また民族衝突が発生したキルギス情勢について、人道支援などを通じた協力で沈静化を図ることで一致。25日に開幕する主要8カ国首脳会議(G8サミット)で主要テーマとなるイランの核開発や、北朝鮮による韓国哨戒艦沈没事件についても意見交換した。