ジュース4本とおにぎり四つ、パンケーキ二つ。6月9日、1週間ぶりに部屋に戻った下村容疑者が、母親の帰りを待ちこがれていた2人に与えた最後の「食事」だ。下村容疑者はこの日から2カ月近く、部屋に戻らなかった。
■ママから「逃避」
大阪市西区のマンションに置き去りにされた幼い姉弟の死は、我が子に愛情を注いでいた母親の「逃避」が招いたものだった。
下村早苗容疑者(23)は三重県四日市市で小・中学校時代を過ごした。父親(49)は県内の高校の体育教諭で、ラグビー部の監督。母親とは幼い頃、離別していた。教職員住宅に父親と2人の妹と暮らした。
父親の同僚教諭は「監督となれば帰宅は深夜で、休日もない」と話す。
下村容疑者は知人に「寂しかった」と語っている。中学時代、髪を金色に染め、家出しては友人宅に泊まった。たばこを吸ったり、バイクに乗ったりし始めたという。
中学卒業後、父親の知人の教諭(40)が勤める東京の高等専修学校に進み、教諭の実家に下宿した。ラグビー部のマネジャーを務め、髪も黒く染め直した。教諭は「娘同然に育てた」という。下村容疑者は「怖かったけど愛情が伝わってきた」「存在を肯定してくれる真の友達を知った。居場所を見つけられた」と知人に振り返っている。
■生計と育児のしかかる
卒業後地元に戻り、勤務先の日本料理店で元夫(23)と知り合った。2006年12月に19歳で結婚。07年に桜子ちゃんを出産した。当時のブログに「私はひとりじゃないんだと、思わせてくれた小さな命」「私の子供、こんなに可愛いものだと思ってもいませんでした」と書いた。翌年に楓(かえで)ちゃんを出産。義父母は子育てを手伝ってくれた。
すべては順調に見えた。