要約
今年の売上成長率の上方修正が最も大きい企業
IP電話を可能にするシステムを提供


通信会社や事業会社がビデオ通話やIP電話を導入するとき、通話の安定度を増すために使われるネットワーク機器を作っている会社がアクメ・パケット(ティッカー:APKT)です。
「アクメ」と聞くと何かエッチな事を想像する読者が居るかもしれませんが、それはアナタの頭が日頃から下ネタに毒されているからデス。因みにアクメ(acme)は頂点ないしピークという意味です。

同社の機器はセッション・ボーダー・コントロール(SBC)システムと呼ばれる機能を司ります。セッション・ボーダー・コントロールはビデオ会議のように、途中で途切れてはいけないアプリを実行している最中は他のトラフィックより優先してこの大事なパケットを通すことを保証する作業を指します。

アクメ・パケットはこのセッション・ボーター・コントロール市場で60%の市場占有率を誇っています。今年の第1四半期と第2四半期のEPSはそれぞれ去年より+129%と+157%成長しました。また年初には今年通年の売上高は去年より+20%程度で成長するというガイダンスだったのですが、それが+30%になり、最近は+50%へと相次いで上方修正されました。これほど急角度で売上見通しが伸びている企業を他に探すのはむずかしいと思います。

これまでのところ同社の製品は主に通信会社に買われてきました。通信会社のコア・ネットワークのパケタイゼーション(IP通話対応化)はほぼ整いつつあります。

しかし企業がビデオ会議やIP通話を導入するには企業側にもセッション・ボーター・コントロール装置を備えることが理想的です。現在アクメ・パケットの売上のうち企業向けは15%程度に過ぎません。

アクメは企業向けネットワーク機器のメーカー、アバイヤと協同して営業展開をはじめています。

近い将来、電話会社は既存の固定電話網からは電話料金を取れなくなることが考えられます。なぜなら企業がIP電話を導入すると電話代を払うのが馬鹿馬鹿しくなるからです。

このような現象は既にSkypeなどで皆さんも経験されていることと思います。Skypeで国際電話の需要が奪われたのと同じように、IP電話の普及は従来の通話を駆逐しはじめるのです。

過去20年に通信会社が構築したインターネットのインフラストラクチャはレイヤー3と呼ばれるネットワークが主でした。

今後はその上に各種サービスの品質をコントロールするサービス・レイヤーを加えてゆくことが重要になります。例えばiPhoneでビデオ・カンファレンスをやるというようなアプリがその具体例として考えられます。アクメ・パケットはそれを実現するためにレイヤー5における製品群を提供しています。

別の言い方をすればアクメ・パケットの製品はシスコやジュニパーの機器よりもソフトウエアの要素が強いわけです。「アプリケーションを売っているのだ」と理解すれば良いでしょう。

アクメ・パケットのもうひとつの特徴は製品のデザイン、開発、テスト、製造をアメリカ国内で行っている点です。アジアのコントラクト・マニュファクチャラーなどにアウトソースは一切していません。

その理由は顧客とのエンジニアリング面でのコラボレーションが重要だし、コストの75%は実はソフトウエアだからです。グロスマージンが87%と驚異的に高いのはそのためです。
APKT