現在位置:
  1. asahi.com
  2. ライフ
  3. デジタル
  4. ネット・ウイルス
  5. 記事

なぜ逮捕?ネット・専門家が疑問も 図書館アクセス問題

2010年8月21日

 自作のプログラムを使っていたら、突然警察に逮捕された。図書館ホームページからの情報入手を巡る事件では、IT技術者から不安や懸念の声が上がっている。逮捕の背景には、図書館がコンピューターの管理をメーカー任せにしている問題があるほか、捜査当局のITの知識を疑問視する声も上がっている。

 ある自治体の図書館で働く職員は「図書館はシステム面で当事者意識が乏しすぎる」と図書館側の問題を指摘する。指定管理者制度で一般企業から図書館に入ったが、引き継ぎ時にシステムの仕様書がなかった。「文系が多く、メーカーに『難しいことはわからないからやっておいて』という態度が目立つ」という。

 事件の舞台になった岡崎市立図書館と同じソフトを使う別の図書館では、朝日新聞が不具合を指摘したのに対し、「システムのことは全部メーカーに任せている。その件でもきちんとやってくれると思う」と回答した。

 日本図書館協会の松岡要事務局長は「メーカー任せの図書館は多い。必要な機能や性能を明示したガイドラインをつくりたい」とする。

 男性は今年5月、突然、逮捕された。取り調べで、プログラムに業務妨害の意図がなかったことを説明し続けた。20日間勾留(こうりゅう)された後、起訴猶予になった。事実を自身の視点で説明しようとホームページを立ち上げた。

 プログラムは自動で新着図書のリストを順に開き、内容をコピーして切り張りするだけのもの。図書館側へのアクセスは14日間に3万3千回で、秒間約1回。数万円で買えるコンピューターでも1日数万回や秒間10回はアクセスに耐えるとされ、むしろ少ない数だ。「常識的に考えて逮捕はおかしい」などとブログやツイッターで書き込みが相次いだ。

 取材で、県警がプログラムの意図を逮捕前に把握していなかったことが分かった。警察庁によると、典型的なサイバー攻撃は同時に数万回のアクセスを行う。一方、男性のプログラムは負荷を少なくするため、1回ずつアクセスし、応答を待って次のアクセスをする。

 産業技術総合研究所の高木浩光さんは「違いは明白。警察は業界の常識を把握して捜査に臨んでほしい」。

 この問題は情報ネットワーク法学会でも取り上げられ、会員で元検事の落合洋司弁護士は「県警はプログラムの意図や図書館側の問題を調べるべきだった。在宅捜査でよかったのでは」と話した。(神田大介)

関連トピックス

検索フォーム

おすすめリンク

岡田氏と加茂氏がドラッカーのマネジメントとサッカー日本代表監督の接点を語り合った。

中国と韓国が文化の領域でも存在感を増している。日本文化の国際的な存在感に変化は?

国内最大手法律事務所の弁護士が得意分野の最新動向を分析


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介

クラウド・コンピューティング特集

新たなIT時代を読み解くキーワード「クラウド」を理解するには?

デジタル関連の本

表紙画像

電子書籍の衝撃 [著]佐々木俊尚

5月28日、ついに日本でもiPadが発売された。電子書籍リーダーとしては、2007年に登場して以来ア………

表紙画像

ヤフートピックスを狙え―史上最強メディアの活用法 [著]菅野夕霧

ヤフー・ジャパンのトップページに置かれるニュース「ヤフートピックス」。新聞社や放送局など約150のメ………

powered by Amazon.co.jp