望 〜都の空から
東京の魅力や四季の彩り、さらに課題も空撮で紹介します
【放送芸能】名作映画の魅力知って!!2010年8月21日 朝刊
「映画本来の面白さを知ってほしい」との思いから、劇場で、自宅で、過去の名作映画を楽しんでもらおうとの試みが進行中だ。今年二月スタートの「午前十時の映画祭 何度見てもすごい50本」は半年が過ぎた時点で動員三十万人突破、興収約二億九千万円と目標を上回る結果を出し、観客の反応も上々。一方でレンタル店「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は七月末から、知る人ぞ知る名作をPRする企画「TSUTAYA発掘良品」を始めた。それぞれの狙いや映画への思いを聞いた。 (石原真樹) ◆全国25館『午前十時の映画祭』 集客安定、上映要請も「午前十時〜」は一九五〇〜七〇年代の作品を中心に、観客アンケートなどを基に選んだ五十作品を全国二十五の映画館で毎日午前十時から上映。満席になる人気作品もあり、新作ひしめく夏興行に入っても安定した動員数を維持している。 東宝専務で企画を立ち上げた中川敬プロデューサーは「劇場で、三十代の母親と十二、三歳くらいの娘が『ローマの休日』を並んで見ている姿を見てうれしかった」と語る。自身もラストシーンでオードリー・ヘプバーン演じるアン王女の目にきらりと光る涙を初めて見つけ、大きなスクリーンで名画を上映する意義を実感したという。 名作を見ることの意味を「直球を知ること」と中川さん。「名作は時の移り変わりに関係なく人間社会の真相を描き、男女や父と子の関係や物語の基本を教えてくれる。オーソドックスな人間ドラマは時に人生の手掛かりになる。だが今の映画は変化球ばかり。変化球が映画だと思ってほしくない」 若者の洋画離れを食い止めるのが一番の狙いだが、若い観客の動員が伸び悩んでおり、若者への認知度アップが今後の課題という。気になる次年度は「調整中」で、十一月に発表する予定。「うちでもぜひ」と申し出る劇場が多数あるほか、上映館のない県から県知事が東宝本社を訪れ直々に上映を申し入れていくなど、業界内外から熱いラブコールが届いているようだが…。 ◆『TSUTAYA発掘良品』 “知られざる名作”を専用棚に「TSUTAYA発掘良品」は、最近のハリウッド映画に食傷気味の中高年映画ファンの掘り起こしが狙い。 CCCは、有名な作品ではなく「知られざる名作」に注目。社員や店舗の店長など百人の映画通が約四万作品を格付けし、中でも店舗に在庫わずか、つまり「知られていない」約三千五百作品を選抜。メーカーに大量発注し、店舗に一作品十枚ずつ配って、専用の棚で展開している。 例えば、第一弾作品の一つ「ジャガーノート」(74年、イギリス)。豪華客船に爆弾が仕掛けられるサスペンスアクションで、コンピューターグラフィックスなしの迫力ある映像が圧巻。ファンの間では知られる存在だが、VHSからDVDへの移行期にレンタル用が作られず、今回、企画のために同社が特注した。 「『見たい作品がない』というのは店員にも観客にも商品知識がないから」と仕掛け人である同社TSUTAYA事業本部の桃田享造さんは話す。「企画を、『自分でも発掘しよう』という顧客の自発的な行動につなげたい」 レンタル店の「新作偏重」を変えたいとの思いもある。「面白くない新作が棚にずらっと並ぶ。それでは、日本人の映画の見方が変わってしまう」との危機感があるという。 第一弾はそのままに九月十六日に第二弾の作品を投入、徐々に「発掘良品」棚を増やすという。
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