【コラム】大学のバブルが崩壊する日(下)
こうした状況に陥ったのは、1996年に大学設立準則主義が導入されてからだ。教員や校舎、収益用の基本資金など一定の設立基準さえ満たしていれば自由に大学を設立できるようになったことで、90年には107校だった4年制一般大学が、昨年は177校にまで増加した。教育大や産業大、専門大(日本の短大に相当)を含めると、345校に達し、学生数の合計は、146万6000人から2倍以上の307万4000人に増加した。
韓国では昨年、一般高校を卒業した生徒の大学進学率は84.9%だった。専門職業教育を目的とする専門系高校でも、大学進学率は73.5%に達する。米国や日本、英国の大学進学率が50-60%台、ドイツでは35%台という事実を考えれば、韓国の異常な進学熱は、誰の目にも奇怪な現象として映るはずだ。
スイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表した「2010年世界競争力評価結果」によると、韓国の「大学教育の社会符合度」は、調査対象となった58カ国のうち46位にとどまった。韓国では、社会生活に必要最低限の素養や資質を備えていない大学生が量産されているというわけだ。
経営難など問題を抱える大学がずうずうしく運営を続けている理由は、自ら閉校の道を選択すれば、不動産など各種の財産がすべて国家に帰属されてしまうからだ。閉校する大学が、残された財産を公益・社会福祉法人に提供することを許可し、財産の一部を設立者が回収できるようにする案を提示し、自発的な破産申請、退出への道を切り開いていくべきだ。
これ以上対策を先延ばしにすれば、いずれは経営難の大学のバブルが一気にはじけ、韓国社会にとてつもない混乱を引き起こすに違いない。平等論理に気を取られ、国の資金でこうした大学にまで手を差し伸べる現行のシステムでは、高齢化社会への準備はおろか、グローバル競争で生き残ることも難しい。これが、教育競争力で世界第2位を誇る韓国の現実なのだ。
趙正薫(チョ・ジョンフン)論説委員