【コラム】100年前の日本漫画に描かれた朝鮮(上)

 料理人が鶏をつかみ、さばこうか、どうしようかと悩んでいる。片手には包丁が握られている。まな板の上の鶏は、身動きできない状態で、悲劇的な運命を待っている。

 1910年6月5日、日本の新聞「二六新報」に、このような風刺漫画が掲載された。カイザーひげを生やした料理人は寺内正毅・韓国統監(後の初代朝鮮総督)、鶏は朝鮮を表している。強権統治で悪名高い寺内統監が、一体いつ韓国併合に踏み切るか、時期を見計らっていることを風刺したのだ。結局、それから2カ月後、料理人は鶏をさばいた。

 100年前の韓国は、日本の風刺漫画家たちの格好のネタになった。当時、日本の風刺漫画で朝鮮がどう描写されているかについては、『日本、漫画で帝国を描く』(一潮閣)という本で興味深く考察されている。国民大の韓相一(ハン・サンイル)名誉教授、高麗大のハン・ジョンソン教授の父子が著したこの本に収録されている、当時の日本の風刺漫画を見ると、羞恥(しゅうち)心と悔しさのあまり、血が煮えたぎる思いだ。

 乙巳勒約(いつしろくやく=第2次日韓協約)が締結された直後の1905年12月、ある時事雑誌に、鳥かごに入った鶏が、主人の与える餌を食べるという内容の漫画が掲載された。やはり、鶏は朝鮮、主人は日本を表している。鳥かごの横には、「朝鮮産保護鳥」という札が付いていた。乙巳勒約により、朝鮮を日本の保護国とするのに成功したことを描写したものだ。

 翌06年6月6日付のある新聞には、テーブルの上の鶏をめぐり、制服姿の二人の人物が、刀を持ったままにらみ合うという内容の漫画が掲載された。一人は初代韓国統監の伊藤博文、もう一人は当時の首相・桂太郎だ。「朝鮮へいどん」という料理を作るため、包丁を強く入れるか、そっと入れるかをめぐって対立しているのだ。これは韓国併合を強硬に進めるか、慎重に進めるかという論争を風刺したものだ。この漫画には、『朝鮮料理競争』という露骨なタイトルが付いていた。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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