電話で人と直接話すのが億劫な若者たち

2010/8/21 11:19
「最近、お客さんがケータイメールで予約を入れてくるんだよ」

   飲み友達の床屋さんが言いました。

   彼はアシスタントを使わずに一人で店をやっているため、完全予約制をとっています。

メールなら十数通も送れるのに

世代間の意識の違いか
世代間の意識の違いか

   25歳で初めて自分の店をもって15年。

   250人以上の顧客がいるため、最初のうちは「ケータイって便利だなと思っていた」そうです。

「いつでも、どこでも予約を受けられるじゃない。常連さんなんかからリクエストがあって、こっちも時間があれば、開店前とか閉店後の時間でも散髪できたし」

   ただ、髪を切っている間は集中しているため、ケータイが鳴っても出られません。

   散髪が終わったのち、次の予約客と入れ替わる時間に、留守電をすばやくチェック。予約の諾否や時間の調整をしていました。

「それが、最近になって紹介を受けてくるようになった若いお客さんなんか、最初からケータイにメールしてくるんだよね。何度目かであれば、あの人だなと分かるけどさ。最初くらい直接声を聞かせてくれてもいいのにね」

   もともと緊急用のために、電話が掛かってきたときだけ音が鳴る設定にしていて、メールはバイブにしていました。すると、気づかないうちにメールが大量にたまってしまい、閉店後にまとめて返事することも多くなったのだとか。

   ときには、予約の可否を確認するメールが十数通も届いていたり、半日後に返事をしたら「すぐに返信がないからダメなんだと思って他店に予約してしまった」という返事がくることも。

   特に初めて見るアドレスからの大量のメールには、犯罪か何かの裏があるのではと気になり、返信しようにも思い切らないとできない、と彼は言います。

「なんでメールなんだろね? 電話してくりゃ一発で済むのにさ!」

   新入社員やバイトの若者が、勤怠などの連絡をメールで済ませて困るというのは、いまだに企業社会では問題となっています。

   若い女性が、電話番号は教えないのに、ケータイメアドは簡単に教えるという話もよく耳にします。

   電話で話すより、メールで済ませるビヘイビア。

「俺にはわからないねぇ、何をもって便利だと考えているのか…」

   そう言って、床屋さんは首をかしげるのでした。

井上トシユキ

1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。TBSラジオ「アクセス」毎週木曜担当。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社刊)「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文芸春秋社刊)など。
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