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| 第１９節の仙台戦では今季最少の３万２２３１人を記録し、空席が目立つ＝１７日、埼玉スタジアム |
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| インタビューに答える浦和レッズの橋本光夫代表 |
サッカーのＪリーグ１部（Ｊ１）で日本一の動員数を誇る浦和レッズの観客数が減少しつつある。熱狂的なサポーターが集まるゴール裏でさえ、対戦カードによっては空席が見受けられる。この状況にクラブも危機感を募らせる。橋本光夫代表は「もう一度埼玉スタジアムをいっぱいにしたい」と観客数を取り戻そうとクラブ改革に躍起。改革のキーワードは「地元回帰」だ。
■観客数の減少
１７日に埼玉スタジアム（収容数６万３７００人）で行われたリーグ第１９節の仙台戦の観客数は、今季ホーム最少の３万２２３１人。２００３年の同スタジアムでのクラブワーストである３万１９６５人に近づく数字だった。
ホームの年間観客動員数は１シーズン制になった０５年以降、右肩上がりを続け、アジア・チャンピオンズリーグ（ＡＣＬ）を制覇した０７年を経て、０８年に８０万９３５３人を記録してピークを迎えた。しかし０９年は０５年以降初の前年割れとなり、約５万人減の７５万１５６５人。１試合平均で約３５００人減った。今シーズンは、さらに減少する可能性が出てきた。
橋本代表は「レッズのクラブ総収入の４割は入場者収入。ほかのクラブは２割ぐらいだから特異。観客数の減少は大きな課題と思っている」と話す。
■人気に頼らない運営
浦和は０９年がリーグ６位に終わり、今シーズンも第１９節を終えて１１位と低迷。優勝争いに加われない現状が、観客数の落ち込みの最大の要因であることは間違いない。
日本で最も人気のあるチームとして、これまでクラブはチーム人気に頼る構造があったのも確かだ。クラブ関係者は「チーム人気の後押しを受け、チケットを売り込むようなセールスはしなかった」と話した。
あるサポーター男性は「レッズは、みこしに乗っている体質が変わっていない。クラブとして努力しているように感じない」と手厳しい。観客数減少は、チーム人気に頼り切ってきたクラブ運営のツケが回ってきた形でもある。
■意識改革
日本のクラブで初めてＡＣＬを制し、名実共にビッグクラブになった。目が世界に向かい、地元意識が希薄になったのも事実。橋本代表は「地元の人に応援してもらうだけでなく、レッズがどれだけ地元に出て行けるか。さいたま市などには、もっと選手を活用してもらっていいと言っている。月に１、２度はクラブ全員でホームタウン活動をしてもいい」と意識改革を強調する。
第１２節・仙台戦のサポーターによる差別発言問題は一つの契機になったという。クラブは「ＳＰＯＲＴＳ ＦＯＲ ＰＥＡＣＥ」と称して試合運営管理規定を見直した。同代表は「入場禁止にすればいいという問題じゃない。サポーターと一緒になってレッズワンダーランドをつくりたい」と力を込める。
さらに夏休みの埼玉スタジアムでは子どもを対象にした仕事体験やビヤガーデンを開催するなど、スタジアムの楽しみを増大させる取り組みを始めた。
勝ち続けるチームはあり得ない。チームが勝てないときこそ、クラブ運営の真価が問われる。まして浦和のように親会社による損失補てんのないクラブとすれば、入場者数減少やサポーターのクラブ離れは死活問題だ。「家族のような存在になりたい」と橋本代表。ビッグクラブの改革は原点回帰から始まる。
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