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<日印原子力協定>外相の諮問機関が懸念の書面提出

8月21日15時0分配信 毎日新聞

 岡田克也外相の諮問機関「核軍縮・不拡散に関する有識者懇談会」(座長・黒沢満大阪女学院大教授)が、日印原子力協定締結の交渉開始を承認した外相の方針に懸念を示す文書を外相に提出していたことが分かった。インドは核拡散防止条約(NPT)未加盟で核兵器を保有しており、同国への原子力協力には国内で強い批判がある。核軍縮・不拡散を最重要課題に掲げる外相が、インドへの協力は実利優先の立場から例外扱いとしたため、自身が設置した有識者機関から苦言を突きつけられた形だ。

 外務省関係者によると、有識者懇は7月6日の第1回会合などで、日印原子力協定について論議。メンバーから(1)各国がインドとの原子力協定を進めることを理由に日本も交渉に乗り出すことは疑問で、日本が同調しないことにこそ意味があった(2)協定締結方針を決めたのならインドが軍事利用しないという担保を目に見える形で示す必要がある(3)インドが核実験をした場合には協力停止する内容を明文化する−−などの意見が寄せられ、それらをまとめた文書を7月末までに外相に提出した。これに対し、外相は従来の立場を変えず「インドとの協力を進める中で核不拡散に関与させていくべきだ」と主張したという。

 外相は現在、インドを訪問中。出発前の20日の会見で、インドが核実験を実施した場合の協力停止規定の明記を目指す考えを示しており、有識者懇の意見や世論の厳しさを踏まえた発言とみられる。

 インドとの原子力協定を巡っては、日本を含む原子力供給国グループ(NSG)が08年9月、インドへの核燃料・機器の禁輸措置を解除して協定締結に向けた各国の動きが加速した。米仏企業はインドでの新規原発建設にあたり、日本製機材の調達を求めており、前提条件となる日印原子力協定の締結を日本政府に促してきた。

 外相は6月25日の会見で「日本だけが違う判断をするのは困難になってきた」と協定締結交渉の開始を発表。同月28、29両日に初会合が開かれた。

 有識者懇は、外相が5人の専門家を集めて7月に設立。月2回会合を開き、核軍縮・不拡散に関し提言している。【吉永康朗】

 ★原子力協定 原子力発電の資機材・技術の提供と、核不拡散の措置を盛り込んだ取り決め。原発技術は核兵器開発にも使えるため、「軍事目的では使わない」という約束と引き換えに技術を提供する目的がある。日本は、国際原子力機関(IAEA)の査察を受けることなどを条件に8カ国・1国際機関と協定を締結している。

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最終更新:8月21日15時0分

毎日新聞

 

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