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【大リーグ】松井が低迷チームにカツの一発!!2010年8月21日 紙面から
【ボストン阿部太郎】秋風の吹き始めたチームに、ゴジラがカツを入れた。エンゼルスの松井秀喜外野手(36)は19日(日本時間20日)、レッドソックス戦の6回に右中間へ勝ち越し16号3ランを放つなど大活躍。7回の押し出し四球による1打点で、今季最多タイの4打点を挙げた。また、4回の三振で日米通算1500三振を記録。9回の三振と合わせ通算1501(日=934、米=567)とした。チームは7−2の快勝で連敗を3でストップ。開幕から9連敗していたレッドソックスに、今季最終戦でやっと初白星を挙げた。 かつての宿敵の本拠地で、ヤンキース時代の勝負強さがよみがえった。6回だ。1−1の同点に追いつき、なおも1死一、三塁。昨年8月、1試合2発を放ったベケットの初球、内角低めの速球を、松井がバシッととらえた。カクテル光線に照らされた打球は、右中間の敵のブルペンへ。今季のRソックス戦10戦全敗という屈辱を免れる値千金の一発だ。「相手のダメージという意味では非常にいいホームランになった」。悲鳴とブーイングの中、悠然とダイヤモンドを回った。 ここ5試合で打率5割、2本塁打、6打点。遅れてやってきた夏男がア西地区4連覇にあきらめムードが漂い始めたチームにカツを入れた。試合前にはハンターの呼びかけで、首脳陣、報道陣をクラブハウスから締め出し、今季2度目の選手ミーティング。20分間以上、ナインが現状を打破しようと意見をぶつけ合った。「まだまだチャンスがあるから一戦一戦、頑張っていこうと。今日は選手一人一人がエネルギーがあるような感じを受けたし、そういう意味で効果はあった」(松井)。この場でハンターは「これからは常に最後だと思って戦え」と檄(げき)を飛ばし、松井は言葉の代わりに、一振りに熱い思いを込めた。 地区首位レンジャーズからは7ゲーム差のビハインド。それでも、不透明な自身の去就もあわせ、このまま引き下がるわけにはいかない。常に平常心を貫こうとしてきた男がここ最近は、勝利へのこだわりを口にしている。「期する思いをバットにこめた? それはあるかもしれない。このチームの中ではベテランなんで、みんなを引っ張っていくようなプレーをしていきたい」。可能性がある限り、松井はバットでチームを鼓舞する。
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