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島袋7戦2けたK!佑ちゃん&マー君超えた

 9回を投げ切った興南・島袋
 9回を投げ切った興南・島袋

 「高校野球・準決勝、興南6‐5報徳学園」(20日)

 島袋はやはり“スーパーエース”だった。興南・島袋洋奨投手(3年)が二回までに5点を失いながら、打線の援護を得て報徳学園(兵庫)から駒大苫小牧・田中将大、早実・斎藤佑樹を抜く7試合目の2ケタ12三振を奪い、完投した。一方、東海大相模(神奈川)の一二三慎太投手(3年)も、成田(千葉)の強力打線に14安打を浴びて7失点したが、最後まで粘り強く投げ抜いた。大会屈指の両投手が、深紅の大優勝旗をかけ、21日に雌雄を決する。

  ◇  ◇

 こいつには、もう打たせない。クールな島袋が闘志をむき出しにした。九回裏、報徳学園の3番・中島、4番・越井を連続で空振り三振に取りゲームセット。「意地で投げました。最後の打者は真っすぐだけ。本当に思いっ切り投げた」と珍しく力を込めて言った。

 練習試合も含め「序盤で5失点は今までなかった」という立ち上がり。一、二回とも先頭打者に中前打を許し、犠打で送られる展開から失点した。特に、二回は2死満塁から中島にこの日最速の145キロを左中間へ運ばれ、走者一掃の三塁打。しかし「点を取られても負ける気はしなかった」と冷静だった。

 元来、負けず嫌いの性格。父・直司さんによると「なかなか練習も休まない。ちょっと調子が悪いと、キツい練習の後ジョギングに出かけます」。気が済むまで体を鍛える。島袋は「きょうのキーマンは中島君。真っすぐを打たれたが、真っすぐで行こうという気持ちだった」と、序盤に狙い打たれた直球で最後まで勝負した。

 三回以降は本来の調子を取り戻し、八回はほぼ直球で圧巻の3者連続三振。準々決勝に続き、先制されても中盤からは無失点に抑え、味方の援護につなげた。

 結局12三振を奪い、昨春から甲子園通算7試合で2ケタ奪三振を記録。近年の記録では、斎藤佑樹、田中将大両投手の6試合を上回った。春夏甲子園の年間奪三振数98個は、横浜・松坂大輔の97個を超えた。しかし「三振の数より勝てたことがうれしい」と淡泊。エースの目に映るのは記録よりも深紅の大優勝旗だ。

 春夏連覇が懸かる重圧の中で5試合42イニングを投げ、甲子園入りしてから体重は3キロ落ちた。しかし気力は誰にも負けない。「明日は最後まで0で投げ切りたい。ここまで来たら気持ちの問題。どんな失敗があっても最後まで下を向きたくない」。あと1勝。島袋は前だけを向き、歩を進める。

(2010年8月20日)





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