「家族承諾」脳死移植2例目、承諾への経緯を非公表
臓器提供始まる
改正臓器移植法に基づき、家族の承諾により脳死と判定された男性の臓器摘出は、入院していた近畿地方の病院で、19日午後6時までにすべて終わった。摘出された心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓は、移植希望患者がそれぞれ待機する病院に搬送され、移植手術が順次始まった。家族の承諾だけで行う臓器の提供は、改正法が先月17日に全面施行されて以来2例目。
臓器摘出は19日午後3時5分に始まった。心臓は東京大病院で40代男性に、肺は大阪大病院で20代男性に、肝臓は京都大病院で40代男性に、腎臓は神戸大病院で60代男性に、もう一方の腎臓と膵臓は名古屋第二赤十字病院で30代女性にそれぞれ提供される。
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日本臓器移植ネットワークと厚生労働省は19日の記者会見で、本人の生前の意思が全く不明だった今回の提供事例に関して、家族が承諾に至った詳しい経緯を公表しなかった。病院がどの時点で脳死判定の選択肢を示し、どのような説明をしたのか。家族が承諾するまでにどれくらい時間がかかったのか。自分の家族に脳死の可能性がある患者が出た場合、だれもが直面するこれらの大切な事柄について、「家族の意向」を理由に明らかにしなかった。
(2010年8月20日 読売新聞)