<セガ復活の足音 その3>
自社IP「爆丸(ばくがん)」の
好調なマルチメディア展開

セガトイズ発の「爆丸」。

 しかし、どんなに「初音ミク」や「けいおん!」が人気とはいえ、彼女たちはよそ様のお嬢さま、つまり他社IPでしかない。利幅が薄くなることを考えると、自社IPのビジネス展開に力を入れたいのが本音だろう。その自社IPの稼ぎ頭として今後の活躍が期待されているのが、同じグループ会社であるセガトイズ発の「爆丸」だ。

 この爆丸とはモンスターに変型する円形の玩具で、専用のカードを使ってコンビネーションバトルを楽しむもの。2007年に北米で火がつき、現在はグループ会社のトムス・エンタテインメント(旧東京ムービー)によるテレビアニメや、アーケードマシンの稼働など、グループ内での水平マルチメディア展開が好調だ。

 前出の山下取締役は「セガは今まで『オシャレ魔女 ラブandベリー』や『甲虫王者ムシキング』など、さまざまな人気自社IPがあったが、他社と比較しても寿命が短い。これは、ビジネス上大変な損失といわざるを得ない。『爆丸』はずっと長く愛されるコンテンツとして育てていきたいと思っている」と「爆丸」のロングラン人気化に期待を寄せている。

 事情通によれば「『爆丸』は今以上のマルチメディア展開が予定されており、今後の状況次第では大化けする可能性を秘めている。セガがグループを挙げて力を入れるのも当然でしょう」と語る。「爆丸」が「ラブandベリー」や「ムシキング」のように、セガの売上を牽引するほどの人気コンテンツになれるか注目だ。

「開発マインドとビジネスマインドの両方をバランス良く」
山下取締役が語る
"強いセガ"復活への条件

山下滋(やました・しげる)セガ取締役(国内リージョン統括)。1985年拓殖大学商学部卒、セガ・エンタープライゼス(現セガ)入社。2009年取締役、2010年7月現職。

 なぜ、セガはこの不況下にもかかわらず、順調に業績を伸ばしているのだろうか。前出の山下取締役は「社内の意識改革に成功しつつあるからだと思います」と語る。

 「6年前にセガがセガサミーホールディングス傘下の企業として再出発を始めてから、我々はビジネスとしてコンテンツ制作をしていることを、会長の里見の姿勢から学んできました。

 里見は常々『エンタテインメントとは、夢であり、喜びであり、また文化。我々はこのエンタテインメントという名の文化がもたらす感動を、世界中の人々にお届けすることが仕事』と語っています。長年、パチンコ・パチスロ業界の現場で、先頭にたってビジネスをリードしてきた里見は、感動を創ってお客様にきちんとお届けすることの重要性を、我々社員に教えてくれたと私は考えています。

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石島照代 [ジャーナリスト]

1972年生まれ。1999年から業界ウォッチャーとしての活動を始める。現在は「夕刊フジ」本紙とウェブ媒体「ZAKZAK」(産業経済新聞社刊)、「ダイヤモンド・オンライン」(ダイヤモンド社)で執筆中。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。明治大学文学部を経て、早稲田大学教育学部に在学中。
Photo by 岡村夏林

 


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