またコンシューマ事業単体は、未だに6億3600万円の営業損失を計上しているが、注目したいのが不況にもかかわらず増加しているソフトの売上本数だ。「IRON MAN(アイアンマン)2」や「Alpha Protocol(アルファ プロトコル)」などを欧米で販売し、昨年同期の265万本から329万本に増加している。
コンシューマ事業の収益改善については、タイトル供給の過多で営業利益率が鈍化した昨年度の状況を改善するために、ソフトのリリース本数を絞り込むことにしているようだ。結果として売上高は減少するが、営業利益率アップを目指している方針が伺える。この状況から、セガの事業単体としては完全に黒字にはなりえてはいないものの、昨年同期よりは赤字が縮小するなど、復活に向け明るい見通しが立ちつつある。
<セガ復活の足音 その1>
最強の自社IP「ソニック・ザ・ヘッジフォッグ」の
国際的存在感
セガは、自社IP(知的財産)である「ソニック」の国際的知名度が抜群なため、セガ自体の知名度も高い。そのため、欧米でゲームも比較的売りやすく、「IRON MAN2」や「Alpha Protocol」などが好調なセールスを記録できるアドバンテージがすでにある。
また、セガの存在感は欧米だけではなく、今後ゲーム業界の有望な市場になりうるアジアでも発揮されているという。あるセガの幹部がモンゴルに出張した際、現地でゲームは販売されていないにもかかわらず、現地の子どもたちが皆ソニックを知っていたことに驚いたそうだ。これは、セガがワールドワイドで強い国際的競争力を内在していることの証拠でもある。
筆者自身も、最近ソニックの存在感を実感させられている。毎年、初夏に米国ロサンゼルスで開催されるゲームビジネス見本市「E3」に展示された、マイクロソフトの新ゲームシステム「Kinect(キネクト)」対応ソフトで、大変評判がよかったのが、「ソニックフリーライダーズ」だ。
あるセガ関係者は「動いているソニックは大変魅力的に見える。Kinectでもこの動くソニックの魅力がきちんと伝われば、世界的にいい感じで売れるのではないか」と期待を寄せる。
だが、「ソニックフリーライダーズ」は、コンシューマ事業においてポジティブな要素とは言い切れない。というのも、Kinectの状況次第では大化けする要素にもなりうるが、コケる可能性も否めないということだ。「Kinect」システム自体の成功も重要な一要素となりうるだけに、マイクロソフトの責任は大きい。