【ロンドン=土佐茂生】スウェーデンのメディアは21日、アフガニスタン戦争に関する機密情報などを暴露して注目される民間告発ウェブサイト「ウィキリークス」の創設者でオーストラリア人のジュリアン・アサンジュ氏(39)を、スウェーデン検察当局が婦女暴行容疑などで指名手配した、と報じた。
しかし、同日夕、検察当局は「アサンジュ氏に疑いはないと判断した」として逮捕状を取り下げた。アサンジュ氏もツイッターを通じて「告発は根拠がない」と否定していた。
現地メディアによると、アサンジュ氏は今月中旬にストックホルム市内で、17日には同市郊外で、それぞれ別の女性と会っていたというもの。同氏は今月中旬、講演活動などでスウェーデンを約1週間訪れていた。
アサンジュ氏は容疑について、スウェーデン紙にメールを通じて否定。近く、ウィキリークスが、まだ公開していなかった米軍のアフガニスタン戦争に関する機密情報約1万5千点を暴露する予定だったことを指摘しながら、「なぜこのタイミングで告発が行われたのか興味深い疑問だ」と反論していた。
また、ウィキリークスもツイッターで「我々は『汚いワナ』を警告されていた。その第1弾だ」とし、妨害行為の一環と訴えている。
政府や企業の機密情報を暴露する民間ウェブサイトが、威力を見せつけている。米軍内部からの情報流出も疑われ、オバマ政権の足元をも揺るがし始めた。