2010年7月13日 14時16分
名古屋地検の事務官が昼休みを理由に容疑者との接見を拒否したのは違法として、愛知県弁護士会所属の蔵冨恒彦弁護士が国に慰謝料など計60万円の支払いを求めた国家賠償請求訴訟で、名古屋地裁は13日、国側に6万円の支払いを命じる判決を言い渡した。戸田久裁判長は接見交通権の侵害を認め、「事務官の不適切な対応で正当な理由なく容疑者との接見を拒否された」と述べた。
判決は「事務官は、容疑者の取り調べが終了していたにもかかわらず接見を拒んだ。国家賠償法上、違法な措置だった」と指摘した。
訴状によると、蔵冨弁護士は09年4月15日午前11時ごろ、名古屋地検の検察官に、道交法違反(無免許運転)の容疑者との接見を電話で依頼し、了解を得た。同日正午ごろに地検に行くと、事務官が昼休みには接見室を使用できないとして、使用可能な時間まで待つか、拘置先の県警瀬戸署に容疑者が戻った後で接見するように求めた。このため蔵冨弁護士は同署で接見した。
裁判で、蔵冨弁護士は「違法な接見妨害にあたる。できる限り早期に接見の機会を与え遅くとも直近の食事や休憩の際に接見の機会を与えるとした最高検の通達に反する」と主張した。国側は「担当検事は接見の準備をしており、接見妨害行為にはあたらない」と反論していた。【高木香奈】