参院選:落選組含め混戦模様 昨年衆院選から22人

2010年6月24日 13時10分 更新:6月24日 18時27分

 昨年の政権交代後、初めての参院選が24日公示され、各党の候補者は全国で激しい舌戦をスタートさせた。安定した政権運営の基盤を固めたい民主、国民新の連立与党と、「ねじれ国会」の再現を狙う自民党など野党との過半数をめぐる攻防。自民党離党者を中心とした新党が相次いで結成され、09年衆院選の落選組もくら替えを目指すなど「生き残り」をかけた動きが乱戦模様につながっている。【田中成之、西田進一郎、仙石恭、山田夢留、笈田直樹】

 今回の参院選立候補者のうち、22人が09年衆院選で議席を失うか立候補を見送った前衆院議員で、参院への転身を目指す「くら替え」組だ。07年参院選でも05年衆院選の落選・不出馬組20人が立候補しており、参院が直近の衆院選落選者の「救済機関」となっている現状が浮かび上がる。

 今回は自民党離党者が中心となって結成した新党がくら替え組の受け皿となるケースも目立つ。過去にくら替えした現職などを含めた衆院議員経験のある候補者は計45人で、全体の1割を超えた。

 09年の落選・不出馬組22人のうち自民党出身は18人で、昨年の民主党圧勝を反映している。ほかは社民党の落選者3人と、出馬を見送った民主党の1人。民主、社民の4人は元の政党から再挑戦するのに対し、自民党出身の18人のうち今回も同党から立候補するのは12人にとどまり、あとはみんなの党3人、たちあがれ日本2人、新党改革1人に分かれて出馬する。

 07年参院選では、05年の郵政選挙で落選した民主党の前衆院議員12人、自民党の郵政造反組8人がくら替え立候補し、12人が当選を果たしている。

 その07年に議席を失った元自民党参院議員6人も今回届け出たが、自民党からは4人。片山虎之助元総務相は自民党の「比例代表70歳定年制」で公認が得られず、比例でたちあがれ日本から出馬。田村公平氏は自民党高知県連の予備選への立候補が認められず、無所属で高知選挙区から立候補した。09年落選・不出馬組と合わせた自民党出身の計24人のうち8人が自民党以外から立候補しており、人材流出が続く党の状況を映し出している。

 昨年、野党に転落した自民党は党再生へ向け「古い自民党」のイメージ一掃に腐心しており、参院選の候補者選定では年齢を理由に立候補を断る例が相次いだ。復活を模索した山崎拓前副総裁や中山太郎元外相らがそのケースで、片山氏も同様に断念を迫られていたことが他党からの出馬につながった。

 くら替え候補が続出した背景には、今回の参院選後、衆院解散が13年夏の任期満了近くまでなければ全国規模の国政選挙のない期間が3年に及ぶ政治情勢がある。自民党選対幹部は「それまで待てないということ」と落選組の焦りを指摘する。与党時代には自民党から「組織内候補」を擁立していた業界団体が離反し、後援会組織を中心に一定の地域票を見込める議員経験者を歓迎する側面も自民党にはある。

 45人の衆院経験者の中で、現職は江田五月議長ら13人。ほかに05年以前の衆院選落選者や、地方自治体の首長への転出組もいる。首長らが結成した日本創新党の候補者にも2人含まれている。

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