2010年6月24日 10時55分 更新:6月24日 11時3分
【ワシントン古本陽荘】アフガニスタン駐留米軍のマクリスタル司令官と側近がオバマ政権の文民高官らを批判した問題で、オバマ米大統領は23日、マクリスタル氏を解任すると発表した。アフガン戦争が正念場を迎えるなかでの司令塔の解任は極めて異例。大統領は「文民による軍の統制は民主主義体制の根幹だ」と述べ、批判は看過できないとの考えを強調した。
政権批判の記事が発覚し、大統領はマクリスタル氏の帰国を命令。マクリスタル氏は23日朝、国防総省でゲーツ国防長官と面会後、ホワイトハウスに呼ばれ、オバマ大統領と執務室で約30分にわたって会談した。
その後、大統領はゲーツ長官やクリントン国務長官ら安全保障担当の政府高官を集め、アフガン戦略に関する安全保障会議を開催。終了後にホワイトハウスの庭から解任人事を発表した。
大統領は「極めて残念だが、アフガンでの任務のために正しいこと」と国民に理解を求めた。そのうえで、「この決定による政策の変更はない」と明言し、司令官交代によるアフガン戦略への影響は限定的との考えを示した。
大統領はマクリスタル氏の後任にイラクの多国籍軍司令官などを務めた米中東軍のペトレアス司令官を指名。上院の承認を得て就任する。ペトレアス氏はマクリスタル氏の上司にあたり、緊急避難的な色合いが濃い人事となった。
問題となった記事はローリングストーン誌に掲載されたもので、マクリスタル氏や側近が米軍増派に反対したバイデン副大統領やジョーンズ大統領補佐官を批判したり、あざける発言が引用されている。